大阪・関西万博に出展!八尾市リボーンチャレンジ「とにかく触る博」を開催しました。

まもなく閉幕を迎える、大阪・関西万博。日々最高来場者数が更新され、会場と大阪の街の盛り上がりを感じます。世界中から色とりどりの文化や技術が集う万博会場。訪れたみなさんは、会場で触れたどんなことが印象にのこっているでしょうか。

9月16日から22日までの1週間は、大阪ヘルスケアパビリオンに、友安製作所がプロデュースした「とにかく触る博」ブースが登場。八尾市の行政と、ものづくり企業13社で力を合わせ、世界中から訪れた方々に八尾市のものづくりの魅力をお伝えしました。連日会場は満員で、社会見学で訪れた子どもたちや、海外からの来場者など、様々なバックグラウンドを持つ方々にお越しいただきました。

今回の記事では、八尾市リボーンチャレンジ「とにかく触る博」の開催レポートを友安製作所の目線でお届けします。

八尾市のものづくりに「とにかく触る」

友安製作所の地元、八尾市はたくさんのものづくり企業が集う街。そんな八尾市が誇る技術を世界に発信しよう!と万博出展を決めた八尾市が立ちあげたプロジェクトが、「八尾市リボーンチャレンジ」です。地元の企業から出展企業が募られ、選考を通過した13社で実行委員会を結成。約2年半の準備期間を経て、万博出展を叶えました。

友安製作所は、空間プロデュース枠で出展し、主にブースのコンセプトメイクとデザインを担当しました。自社で製作した什器や装飾品は八尾市に寄贈しましたが、ブース内のすべてを友安製作所が手がけたわけではありません。化学、金属、プラスチックなど、多様な産業が集まる八尾市のものづくりの力を結集することで、ひとつの空間をつくりあげました。出展企業13社以外にも、多くの企業の皆様にご協力いただいたことで、空間全体で八尾のものづくりの創造性を表現することができました。

たとえば、会場のシンボル的存在だった「YAO CITY」の什器を手がけたのは、柳田製作所さん。鉄でつくられた文字の内側はトンネルになっており、通り抜けながら展示をみることができます。限られた空間の中で、展示と体験を両立させたユニークなアイデアでしたが、誰もつくったことのない挑戦的なデザインでした。しかし、実際に出来上がった什器をみると、図面通りの完璧な仕上がりで、友安製作所のデザイナーも感激。会場では、楽しそうにトンネルをくぐり抜ける子たちの様子をたくさん見ることができました。

コンセプトにも「とにかく触る」とあるように、今回の展示で私たちが最も大切にしていたのが体験です。最先端技術や貴重な展示品が揃う万博会場にはどうしても「手を触れないでください」という注意がつきものですが、私たちのブースでは逆に「とにかく触る」と掲げることで、よりリアルにものづくりの面白さを体感していただけるブースを目指しました。

8つのテーマで魅力をお届け

12社による展示は「メッセージ」「伝統」「素材」「視点」「着想」「体験」「デジタル工場見学」「来訪者との共創」の8つのカテゴリで紹介されました。

メッセージ」
入り口すぐのメッセージのコーナーでは、出展企業の工場ででる端材をつかって制作された大きなサムライ像が、訪れた方々をお出迎え。こちらは彫刻家の高田治さんによる作品です。本来捨てられてしまう端材をアーティストさんに託すことで、新しい物語を繋いでいくというこの取り組みは、数年前から八尾市内の複数のものづくり企業で実践されています。

「伝統」
ここでは、八尾市の産業の歴史を浮世絵風デザインで解説しました。河内木綿の生産や、歯ブラシづくりなど、地場産業の成り立ちから、時代の変化にあわせた歩み、そして未来の姿までを描いた壮大な展示です。年代順に整理することで、私たちもこれまで知らなかったまちの歴史を学ぶ機会になりました。こうしてみると、八尾市が「ものづくりの街」と言われることにも納得いただけたのではないでしょうか。

歴史を学んだあとは、特別につくられた大型の歯ブラシや、長い歯ブラシの毛でつくられたカーテン、河内木綿の綿など、八尾のものづくりの原点に実際に触れていただけるコーナーも。歯ブラシの毛は、手入れされた髪の毛のように美しく、受け継がれてきた技術の高さを感じさせました。

素材
素材のコーナーには、ものづくりの技術が光る、特殊な素材に触れられる絵本が登場しました。ものづくり企業の中には、あくまで素材やパーツとしてしか使われないものをつくる企業も多くあります。そこで、普段はなかなか気がつくことのできない高い技術を身近に感じていただくために、アーティストさんの力を借りてこの絵本を制作しました。「ある夜、動物園から逃げてしまった動物たちを探しにいく」というストーリーで、子ども達にも大人気でした。

「視点
ここでは石鹸を製造する2社が、SDGsの視点から考案した未来の石鹸の姿を提案しました。プラスチックのケースに入れられ、使い捨てられることが多いという石鹸の課題を解消し、プラスチックケースなしで使いつづけることができる石鹸。今回はまだプロトタイプの段階でしたが、実際に手に取ってみることで、それをつかっている未来のくらしを少しだけ想像することができました。

「着想
着想のコーナーでは、4社が自社の技術と社会的な課題を掛け合わせた新しいプロダクトを紹介。女性の健康や自然災害、サスティナブルな素材の探求など、くらしの中に潜む課題から着想を得たユニークなプロダクトがならびました。もちろん全て実際に触れることができ、シリコーンでできた折り紙や、ヤシの木の皮から形成した玩具など、はじめて触る感触のアイテムにみなさん興味津々でした。

「体験
体験コーナーでは、日替わりで出展企業がワークショップを実施。中には日本の文化である「おみくじ」を掛け合わせたものなど、エンターテイメント性をもたせたワークショップもあり、大人気でした。子どもから大人までたくさんの方々に、ものづくりの面白さを実際に味わっていただくことができました。

来場者との共創
「共に創る」と書いて、共創。それはまさに、私たち八尾市のものづくり企業が大切にしている在り方です。今回の万博出展も、日頃から地域の企業が協力して街の魅力発信やオープンファクトリーを行ってきたからこそ実現することができました。会場を訪れたみなさんとも、会期を通して何か一緒につくりたいと考えてご用意したのが「どこから来たの?」を尋ねるアンケート。地域を回答するとお祭りの提灯が光り、表示される人数が増えていくというシステムで、毎日たくさんの方々にお越しいただいたことを実感できました。

デジタル工場見学」
私たちものづくり企業には、何よりも多くのひとに見ていただきたいのに、どうしても万博会場に持ってこれなかったものがありました。それは、工場です。八尾市のものづくり企業では一般の方を工場にお迎えして自分たちのことを知っていただくオープンファクトリーの取り組みを大切にしています。今回の万博では限られたスペースのなかでプロダクトを見ていただき、想いをお伝えすることしかできませんでしたが、「万博が終わったら、今度は私たちの工場にあそびに来て欲しい」そんな思いで、会場では録画した工場の風景をお届けしました。

リボーンステージでも「とにかく触る博」

9月17日には、大阪ヘルスケアパビリオンの屋外にあるリボーンステージにて、「OPEN FACTORY CITY YAO ~オモシロイからはじまる価値創造~」と題したプログラムを開催。朝10時から夜20時まで、音楽やトークセッション、オンライン工場見学などなど、盛りだくさんの内容をお届けしました。大屋根リングに向かって立つ大きなステージなので、通りかがりで見かけたよという方もいらっしゃるかもしれません。八尾市リボーンチャレンジの実行委員長であるBoss(ボス)は、八尾市の大松市長と登壇し、会場にお越しのみなさんに「とにかく触る博」と八尾市の魅力をPRしました。

オンライン工場見学

万博会場のステージと、八尾市にある工場を繋いだオンライン工場見学にも挑戦。はじめての試みでしたが、関西大学放送研究会の学生さんがリポーターとして各社を訪れ、中継をサポートしてくれたので、とても心強かったです。現地にお越しいただく普段の工場見学と違って映像で伝える難しさもありましたが、これからの可能性を感じられる取り組みとなりました。

トークセッション

ステージで行われたいくつかのトークセッションには、友安製作所代表のBoss(ボス)と、まちづくり事業課のWill(ウィル)も登場しました。「関西オープンファクトリーフォーラム Beyond-EXPO2025」と題した回では、全国のオープンファクトリーから代表者が集まり、オープンファクトリーの取り組みの成果や、これからの姿について語りあいました。私たちが取り組む「FactorISM」、新潟県燕三条の「こうば祭典」、福井の「RENEW」、愛知の「ひつじサミット尾州」は、それぞれが影響を与え合い、地域を超えた共創が生まれていることがわかるお話でした。これから日本中のオープンファクトリーの取り組みが、もっともっと盛り上がっていくことに期待しています。

ファッションショー

夕方には、ものづくり企業のユニフォームを魅せるファッションショーを開催。「とにかく触る博」の出展企業から7社が代表して出演しました。それぞれ、工場の製造スタッフが普段身につけている作業服や、自社で製造したアイテムをまとって登場。ひと昔前までは「汚そう」「臭そう」といったネガティブなイメージも強かった町工場ですが、そんなイメージを覆すべく、こだわりのユニフォームを着て働く姿をアピールしました。コメンテーターには、ファッションブランド「アーバンリサーチ」のスタッフさんをお招きし、コーディネートのポイントを解説していただきました。

友安製作所からは、2人の若手スタッフがBoss(ボス)を囲んで仲良く登場。製造課のスタッフが自分たちでプリントしているオリジナルのTシャツや、製造課長のトレードマークであるデニムのセットアップを披露しました。ランウェイを歩く姿から、工場で毎日たのしみながら、誇りをもって働くものづくり企業の雰囲気を感じていただけたのではないでしょうか。

今度は、町工場でお待ちしています!

たくさんの方々にお越しいただき、大盛況のうちに終了した大阪ヘルスケアパビリオンでの「とにかく触る博」。八尾のものづくり企業たちにとって、歴史に残る1週間となりました。そして、訪れたみなさんが楽しそうに展示に触れてくださっている姿をみて、「まちこうばをエンターテイメントに」という私たちの想いに大きな可能性を感じることができました。

今回万博という大舞台に、町工場である私たちが参加できたのは、行政や企業が一緒になって力を合わせてきたからこそ。この経験を生かして、これからもみんなで一緒に、ものづくりの街八尾を盛り上げていきたいと思います。

そして今回の万博を通して、ものづくりに興味を持ってくださったみなさんには、今度はぜひ私たちの工場を訪れていただけたら嬉しいです。万博が閉幕すると、すべてのパビリオンがなくなってしまいますが、私たちはそれぞれの場所で面白いものづくりを続け、発信していきます。

10月23日〜26日には、大阪広域のオープンファクトリーイベント「FactorISM」を今年も開催予定。万博に出展した13社の企業もたくさん参加しています。友安製作所では24日(金)と25日(土)に、工場・オフィス見学と、ものづくり体験のワークショップを予定しています。みなさまのお越しを心よりお待ちしております!