漆喰とは? 消臭や抗菌など「漆喰の効果」を解説します!

ピタットシックイ

「漆喰」とは、日本の伝統的な建築の内壁・外壁の塗り壁材。
昔は城郭や土蔵などに使われていまいましたが、現代では一般住宅の内壁にもよく使われています。
このように昔からずっと愛され続けているのは、漆喰にさまざまな効果があるから。
今回の記事では、その効果を解説し、漆喰の魅力をお伝えしていきます♪

そもそも漆喰って?

「漆喰」の主原料は、消石灰(しょうせっかい)。
消石灰は、地中から採掘される石灰石(せっかいせき)を焼成して水を加えたものです。
そして、この石灰石は、海にあるサンゴがルーツになっているんです。
「地中から採れるのにサンゴ??」と思うかもしれませんが、ご存じの通り、日本を含めた世界の陸地の多くはかつて海。長い年月、それこそ数億年という気が遠くなるような年月をかけて、地殻変動などで海の中のサンゴ礁が陸地になったものが石灰鉱脈であり、そこから石灰石を採掘しているそうです。
ちょっと複雑ですが、数億年前のサンゴが住宅の壁に使われていると思うと、なんだかロマンを感じませんか?
さらに、消石灰に「麻すさ」や「海藻のり」などのつなぎを混ぜると、漆喰の出来上がりです!

【まとめ:漆喰ができるまで】

①石灰鉱脈から石灰石を採掘。
②石灰石を焼いて水を合わせて消石灰を作る。
③消石灰に麻すさや海藻のりを混ぜると漆喰に!

「すさ」とは、壁土に混ぜるつなぎのようなもの。すさを入れることによって、ひび割れ防止や保湿効果、コテの伸びを良くするなど作業性の向上にもつながるそうです。素材は、麻や藁(わら)、紙など。これが自然素材であるかないかで、塗り壁材自体が自然素材ではなくなってしまう場合もあるので注意!

漆喰の歴史

古くは古代ギリシャやローマ帝国の建築物にも使われていた漆喰。中国の万里の長城では、煉瓦をつなぐ接着剤の役割を果たしていたようです。
そして日本では、平安時代の初期の神社仏閣建築に使われたと言いますから、その歴史は約1300年前にまで遡ります。戦国時代には、各地域の武将たちが城郭建築に漆喰を用いました。白く輝く漆喰の城壁は権威の象徴にもなったそうです。それくらい高級な素材でもあったのでしょうね。機能面でも、耐久性と耐火性に優れているので、まさに戦国時代の城にピッタリだったというわけです。
そして、江戸時代には市中でも漆喰の壁を使うことが多くなりました。火事が多かった江戸の町では、裕福な商人の土蔵や神社仏閣で、人の命や財産を守るために耐火性の強い漆喰が使われたそうです。
明治以降は、洋風建築でも漆喰が用いられ、現代でもその機能面の高さや自然素材という点も含め、日本の住宅に欠かせない建築資材となっています。

漆喰の効果とは?

漆喰には下記のようにさまざまな効果があります。
今注目度が高まっている抗菌効果や、体に優しい効果、梅雨の時期に嬉しい効果など、漆喰のメリットを理解すると、より効果的に取り入れることができますよ。
それぞれの効果を一つずつ解説していきますので、ぜひチェックしてくださいね。

【漆喰の効果いろいろ】

消臭効果がある。
抗菌効果がある。
ホルムアルデヒドを分解する。
調湿効果がある。
耐火性が高い。

漆喰の効果① 「消臭効果」がある

漆喰の特徴の一つが、「多孔質構造」。これは、「細かい穴(孔)がたくさん空いた構造」ということ。漆喰はこの穴から酸性の“におい”を吸収し、そのにおいが漆喰内部の強アルカリ性にさらされることによって中和反応が起こります。そして、水蒸気や二酸化炭素など無臭な成分に分解されていくのです。
これが消臭効果につながり、同じ塗り壁材の珪藻土に比べても効果が高いと言われています。

こんな“におい”を分解します!

酸性のにおいを分解することから、生ごみや排水溝、体臭など「生活臭」と言われる臭いに効果的です。他にもペットのにおいも酸性のモノが多いため、効果が期待できます。タバコのにおいはアルカリ性のため分解はできませんが、多孔質構造の穴で吸い込んだり吐き出したりするうちに薄まるようです。

漆喰の効果② 「抗菌効果」がある

漆喰には、なんと「抗菌」の効果もあるんです。
その秘密は、漆喰のもとになる石灰石。石灰石はph値の高い「強アルカリ」です。pH11以上を強アルカリ性といい、ph8以上は殺菌性も高いと言われています(一般的な石鹸のph値は9~11)。その石灰石の強アルカリ性によって、接触したウイルスの構造が変化し、ウイルスの感染性を失わせると考えられています。

「強いアルカリ性だと、人にも影響があるんじゃない??」と思われるかもしれませんが、しっかり乾燥させ、硬化させたものは触っても害はありませんのでご安心を!

漆喰の効果③ ホルムアルデヒドの吸着・分解

漆喰には、シックハウス症候群の原因であるホルムアルデヒドを吸着・分解する働きがあります。
シックハウス症候群とは、建材や調度品などから発生する化学物資、カビ・ダニなどによる室内空気汚染等と、それによる健康影響のこと。
ホルムアルデヒドとは、この化学物質の中の一つで、ヒトの粘膜を刺激し、涙が出たり、目がチカチカしたり、鼻水やノドの渇き・痛み、せきなどシックハウス症候群の代表的な症状の原因となる化学物質です。
漆喰はその物質を分解してくれるわけですから、化学物質過敏症の人やシックハウス症候群が心配な人にもオススメの建築資材というわけです。

漆喰がホルムアルデヒドを分解する仕組み

漆喰は強アルカリ性ということはお話ししましたが、アルカリ性ゆえに酸性のモノを吸着します。そしてホルムアルデヒドは、その「酸性気体」なのです。
ホルムアルデヒドが吸着されると、化学変化して分解され、糖になり無害化します。
そのためホルムアルデヒドが再放出されなくなるのです。

漆喰の効果④ 調湿効果がある

漆喰の多孔質構造は、湿度をコントロールする役割も持っています。
湿度の高い梅雨などは湿気をその穴から吸収し、乾燥する冬には、その湿気を放出していきます。このように湿度を適度にコントロールすることを「調湿性」といい、結果的にカビやダニの発生も抑制することができます。
ただ、この調湿性については、漆喰とよく比較される「珪藻土」の方が高いとされていますので、「何よりも調湿性にこだわりたい」のならば、珪藻土や他の塗り壁材を選んだ方がベスト。

漆喰の効果⑤ 耐火性が高い

漆喰は建築基準法の「不燃材料」に認定されているほど、耐火性が高い材料です。
不燃材料とは、加熱開始後20分以上で燃焼する材料。言い換えれば、加熱後20分は持ちこたえられる材料と言えます。不燃材料には、他にコンクリートやレンガ、アルミニウムが挙げられますが、このラインナップを見ただけでも漆喰の燃えにくさは伝わりますよね。この耐火性の高さから、戦国時代の城郭建築や、江戸時代の土蔵などに使われるようになったそうです。
また、万一燃えてしまったときも、化学建材のようにダイオキシンなどの有害ガスが発生することがないのもポイント。人や環境に優しい素材というわけです。

漆喰のデメリット

ここまで漆喰の魅力や得られる効果をお伝えしてきましたが、やはりデメリットもあります。
漆喰を家の壁などに取り入れる場合は、こちらのデメリットも理解しながら上手く取り入れていきましょう。

漆喰のデメリットと対処法

●多湿の場所には向かない。
 調湿性があり、湿気を吸収してしまうので、結露する恐れがあります。
→《対処法》湿度が高くなったになったら、細目に換気しましょう。
●塗り立てはしばらく白い粉が落ちる。
→《対処法》クローゼットなど、粉が着くと困る場所には使わない。
●コストがかかる。
→《対処法》初期費用はビニールクロスなどよりも高くつきますが、耐用年数が長いので、結果的にお得な場合も多いようです。

まとめ:漆喰は優れた性能を持つ塗り壁材

漆喰の効果には、抗菌効果やホルムアルデヒドの分解、消臭効果、調湿などの身体に優しい効果から、耐火性があって火災にも強いという建材としての魅力といったふうに、さまざまなメリットがあります。
「塗り壁にしたいけど、素材はどうしようかな~」と検討中の方は、ぜひ漆喰も選択肢の一つに入れてみては?