2025年、私たち友安製作所に舞い込んだビッグニュースの一つが、「BRUSHUP(ブラッシュアップ)」の『iFデザインアワード2025』最高賞ゴールドアワード受賞という快挙でした。
iFデザインアワードは、世界三大デザイン賞の一つで、ものづくりにかかわる者であれば、だれもが憧れる権威ある賞です。そんな名誉ある賞を受賞した朗報は、国内外たくさんのメディアで取り上げていただき、私たちも全社員で喜びをかみしめました。
今回の記事では、そのBRUSHUPシリーズについて、開発秘話や受賞に至ったポイント、製品の魅力など、自社デザイナーのSammyに解説してもらいました。
この人に話を聞きました!

▼ デザイナー・Sammy
自社の製品や友安製作所工務店の空間デザインなどに関わる自社デザイナー。BRUSHUPの開発にも初期からかかわっていました。
インテリアコーディネーターの有資格者でもあります。
目次
「おしゃれな掃除道具がほしい」社員からの一言がきっかけに
BRUSHUP誕生のきっかけとなったのは、Sammyからの「おしゃれな掃除道具がほしい!」という一言。
2023年、東京のクリエイティブユニット・TENTさんとのコラボレーションが決まり、「どんな製品をつくろうか?」と思案していたところでした。
掃除道具、なかでもホウキとチリトリはどれも生活感があって、出しっぱなしにできないものばかり。インテリアとしても使えて、実用性もある。そんなおしゃれなホウキとチリトリがほしいというインテリアコーディネーターでもあるSammyの願望から出た一言です。
そこからヒントを得て、デザインを提案してくれたテントさん。なんと所属デザイナー全員がデザインを提案してくれたのです。
皆さんの提案はどれも素敵! 当初は1商品のみを展開する予定でしたが、複数のデザインを採用し、合計6点をシリーズとしてリリースすることになりました。
世界的に評価されたBRUSHUPとは?
“見せる”掃除道具としての6アイテム

BRUSHUPは、つくる人の創造性に磨きをかける、全6種類のホウキとチリトリからなる掃除道具シリーズです。
何かを生み出すとき、「机の上を片付ける」「まずは掃除をしてスッキリする」。そうやって物理的にも心理的にも整理をすることが、ヒラメキや新しいアイデアのきっかけになることって多いんじゃないでしょうか。
そのお手伝いをするのが、BRUSHUPシリーズ。玄関や作業場、デスク周り、アウトドアなどさまざまなシーンを想定し、それに合った形状・機能を持たせた6アイテムをそろえました。鉄・木・刷毛というシンプルな組み合わせで、掃除道具でありながら、むしろ「見せたくなる」ようなインテリアアイテムです。
Produced by 友安製作所
Designed by TENT
【BRUSHUPシリーズ6アイテム】
■TRIANGLE(トライアングル)
玄関やリビングにそのままインテリアとして。
■CAN(カン)
裏にホウキが隠れていて、ちりとりにもなるゴミ箱。
■SWING(スウィング)
高いところもお掃除できるスウィングホウキ。
■BAR(バー)
マグネットでスリムに一体化したホウキとチリトリ。
■BOOK(ブック)
本棚に置ける小さなホウキとちりとりセット。
■CARABINER(カラビナ)
身近な場所に掛けておけるカラビナの形状をホウキとチリトリに。
※下の項目で、それぞれ詳しくご紹介します!
授賞理由は、高いデザイン性と精密性

BRUSHUPがiFデザインアワード2025で最高賞ゴールドアワードを受賞できた理由は、デザイン性の高さはもちろん、製品に表れている職人の高度な技術でした。特に高精度な溶接技術は、鉄のものづくりを追求してきた友安製作所の自慢の一つでもあります。
通常、鉄を接合した溶接部分は、加工した跡が見えてしまうことが多いのですが、友安製作所の職人が手掛けたBRUSHUPは別物。溶接の跡が全くと言っていいほど見えず、まるで一枚の鉄板でつくったような滑らかで美しい形状なのです。
友安製作所の社員の中でも、「ここって本当に溶接したの!?」と、疑ってあちこち触って確認するほどの完成度の高さ。皆さんも、一度実際に目にしていただければ、きっとこの精度の高さが体感できると思いますよ。

高い完成度を求めて試行錯誤の連続
安定感と使いやすさを両立する重さとは?

制作過程は、「完成まで順調に進んだ!」とは言い難い、トライ&エラーの連続でした。
難易度が高かったのは、マグネット収納に用いるマグネットの強度と重さのバランス。メイン素材が「鉄」であるBRUSHUPは、構造によってはどうしても重さが出てしまいます。さらにマグネットは、強度を重視するとマグネット自体も重くなってしまうという問題が。
そこで、TENTさんが何度も図面をつくり直し、友安製作所の職人が何度も試作をつくっては修正し、デザイン性や機能性は保ちつつ、鉄の部分を最大限軽量化していきました。マグネットに関しても、強度は保ちつつ、より軽いものを。
そして完成したBRUSHUPは、6アイテム中4つが便利なマグネット付き。安定感がありながら重すぎず、快適に使用できるデザインなりました。
曲げられない想いが詰まった刷毛

もう一つの難関がホウキに必要不可欠な「刷毛」の部分でした。
鉄や木工の製造を得意としている友安製作所では、刷毛をつくることができません。そこで、友安製作所で取り扱っている壁紙施工用の刷毛をつくる製造会社に協力してもらうことに。
しかし、自社で製作するのとは違い、細かなニュアンスを伝えるのは至難の業。
微細な角度や穴の位置など、友安製作所として求める高いクオリティを実現するために、協力会社に何度も修正を依頼しました。
もしかすると、「なぜそこまで??」と思われることかもしれません。
しかし、それでも妥協したくない。より使いやすいモノを。よりデザイン性の高いモノを。友安製作所の“いちいちカッコイイ”ものづくりには、そんな曲げられない想いが詰まっています。
協力会社にもたくさん力を貸してもらい、試行錯誤してできあがったホウキ。皆さんにも間近で見ていただけると嬉しいです。
全種類そろえたい6種のホウキとチリトリ
この項では、試行錯誤して完成したBRUSHUPシリーズ全6種類の特徴を、それぞれライター目線で詳しく解説していきます。
①立ったまま使えるホウキ TRIANGLE(トライアングル)

TRIANGLEは、シリーズ中、最も大きなサイズで立ったまま使えるホウキ。
このホウキと三角形のチリトリは、カチャッと一体化してそのまま部屋における仕組み。秘密は、それぞれに付いているマグネットで、ホウキを付けたままチリトリを持ち上げることもできます。だから、ゴミが箱にもそのまま運んでポイッ。
リビングなどはもちろん、せっかくならゲストの目にも止まりやすい、玄関の掃き掃除に使うのもおすすすめです。
スタイリッシュだから玄関にも 片手でゴミ箱に
②ゴミ箱とホウキがセットに CAN(カン)

一見シンプルなゴミ箱ですが、その裏に隠れているのは、ホウキ。ゴミ箱にある姫路レザーの持ち手を持って使えばチリトリに変身し、ゴミ箱とチリトリとして使える2WAY仕様です。
掃除が終われば、ホウキに付いたマグネットで、ゴミ箱の裏にピタッ。ホウキの持ち手は、貼り付けやすく取り外しやすいように、丸棒の一部を平面にカットした形状にしています。
工作など、手を動かすものづくりに集中したいワークスペースの相棒に。
ゴミ箱の裏にホウキが
③長さが変わるホウキが便利 SWING(スウィング)

クルっと刷毛部分を出せば、ホウキが長くなる独自の回転機構を採用したSWINGのセット。机の上や床、棚など、高いところから低いところまで、さまざまな高さのホコリをサッとひと掃きできるユニークなアイテムです。
使わない時には、ホウキをチリトリの中にピタッとしまえて、佇まいもスマート。さらにホウキとチリトリの別売りもあるので、「どちらか一方だけ」という使い方も可能です。
かけて収納も可能
④細身のフォルムがスタイリッシュな BAR(バー)

BARはマグネットでスッキリと一体化する、ちょっと細身のホウキとチリトリ。
他のシリーズアイテム同様に、一目見ても掃除道具とわからない佇まいは、玄関やリビングなどに置いてもインテリアの邪魔をしない存在感。室内の植木鉢のそばに置いて、土や枯れ葉をサッと掃除するのにも便利です。

私の家では、ペットのごはんスペースのそばに置いて、こぼれたドライフードの掃除に使っています。フードは真っ先に片づけたいゴミの一つなので、出しておいてもおしゃれなBARはとっても便利ですね。
⑤まるで本のような掃除道具 BOOK(ブック)

BOOKという名前の通り、まるで本のようなルックスのホウキとチリトリ。木の部分とアイアン部分を取り外せば、机の上をサッと掃除できるホウキに早変わり。「掃除は気付いた時にするのが散らからないコツ」と言われるように、デスクにBOOKをちょこんと立てて置けば、すぐに手に取って掃除ができて、スッキリした空間を保つことができます。
また、ホウキがフタ代わりになることで、アイアン部分に一時的にゴミを溜めておくこともできますよ。
一時的にゴミを溜めることも

私の場合、アイデアを書き出すときは、まだまだアナログのノートにシャープペンシル。消しゴムの消しカスもたくさん出るので、デスクの上のBOOKが役立っています。デスクの上は、特にお気に入りの文房具や小物でそろえたいので、見た目の良いBOOKはかなりの必需品になっています。
⑥どこにでも吊り下げて CARABINER(カラビナ)

シリーズで最もコンパクトなアイテムCARABINERは、アウトドアシーンで多く使用される「カナビラ」の構造を持ったホウキとチリトリです。デスクや作業場の近くに吊り下げてサッと掃除したり、リュックに下げて服に付いたゴミをサッと落としたり。皆さんのアイデアで、いろいろなところに小さな相棒としてぶら下げてください。
服のゴミもササっと ホウキとチリトリの別売りもあり
カラーは、モノトーン+トレンド感のある5色

発売当初はブラックとホワイトの2色展開だったBRUSHUPシリーズですが、2025年にはトレンド感のある5色を追加し、合計7色の展開に。さらに幅広いインテリアに馴染むアイテムにブラッシュアップしました。
追加したのは、落ち着いたトーンの「ライトグレー」「ナチュラルベージュ」「スモーキーミント」。そして、これまでのブラックとホワイトよりも艶がなく、サラッとしたテクスチャの「サンドブラック」「サンドホワイト」。
どのカラーも、ナチュラルや北欧、韓国インテリアなど女性っぽいインテリアスタイルにも合わせやすいカラーになっています。
スモーキーミントやホワイト系は、子ども部屋にも合わせやすいので、お子さんが自分でお掃除する手助けにもつながりそうですね。
ライトグレー ナチュラルベージュ
スモーキーミント サンドホワイト サンドブラック

従来のブラックとホワイトを合わせるなら、鉄板のインテリアとしては、モダンでシンプルなインテリアや、ちょっとカッコイイ雰囲気のインテリア。でも私の家では、グリーンやマスタードなど派手な壁色を多用しているので、締めのカラーとしてブラックを愛用しています。他のカラーも、色のイメージの先入観にとらわれず、好きなカラーを使ってみるのもおすすめです。
アイテム別おすすめの使い方
BRUSHUPシリーズは、「6アイテム×7色」で42種類。その中でライターがおすすめする選び方を、場所とインテリアスタイルの組み合わせでピックアップしてみました。
アイテム選びの参考にチェックしてみてください。
こんな場所に | インテリアスタイル | アイテム |
---|---|---|
玄関 | モダン、シンプル | トライアングル |
リビング | 北欧系 | トライアングル、カン、スウィング |
ワークスペース | シンプル | ブック、カナビラ |
ワークスペース | ナチュラル | ブック、カナビラ |
洗面所 | シンプル、ナチュラル | バー |
子ども部屋 | ポップ | カン、ブック、スウィング |
まとめ:世界中に魅力的なアイテムを

インテリアとして、見せる掃除道具BRUSHUPシリーズ。
皆さんのお部屋には、どのアイテムの何色がマッチしそうですか? いろんな色を使ってみるのも、1~2色でまとめるのもステキですよね。せっかくなので、それぞれの部屋やスペースに合わせて、全アイテム揃えてもらえると嬉しいです。
友安製作所では、こういった職人の技が活かされた魅力的なアイテムをたくさんつくり上げています。このBRUSHUPシリーズをきっかけに、より多くの製品の魅力が世界中の皆さんに伝わりますように。
私も玄関用の掃除道具として即買いでした! 玄関の掃除道具は、生活感が出るようなプラスチック製が多かったんですが、TRIANGLEなら玄関に出しっぱなしでも、オブジェやアートっぽくて、むしろ置いておきたい!