お気に入りの家具や雑貨、カーテンをそろえたら、やっぱり写真を撮りたくなりますよね。
「でも、狭いマンションだと、インテリアの写真って結構難しくて…」
「カメラは持ってないし、スマホでもっとお洒落なインテリア写真が撮りたい!」
「実物はもっと可愛い雑貨なのに、なぜか写真は可愛くない…」
そんなことってありませんか? そこで今回は、友安製作所で数多くのインテリア写真を撮影しているカメラマン・Geoffに、「プロじゃなくても、スマホでも、イイ感じのインテリア写真が撮れるコツ」を教えてもらいました!
お話を聞いた人/写真のプロ「Geoff」
友安製作所で数多くのインテリア写真を撮影してきたプロカメラマン。写真だけでなく、動画や音楽制作もお手の物♪ 関西弁も操るアメリカ人クリエーターです。
目次
Step.1 構図を考えよう!
➀あなたは「何を」見せたいですか?
Geoff 「まずは、あなたがこの写真で見せたい物。ポイントにしたい物を決めましょう」。
今回は、このアンティークなソファーをポイントにします。
試しにいろんな角度から撮影してみてください。例えば、ソファーを斜めからとらえた写真(A)と、真正面からとらえた写真(B)。どちらがよりソファーを魅力的に見せているでしょうか?
好みはあるかもしれませんが、(B)のソファーを真正面からとらえた方が、よりソファーの魅力を伝えられるインパクトある写真になっていますよね。
➁「水平」を意識しよう
(B)の真正面から撮影された写真は、(A)と何が違うのでしょう?
角度はもちろん、特徴的なのが、水平を意識していること。
部屋の中のまっすぐなラインと水平に合わせることで、すっきりしながらインパクトのある写真にすることができます。
iPhoneであれば、写真を撮る段階からこういった補助線が付いているので、それに合わせれば簡単。
水平なラインを意識しながら撮影してみましょう。
さらにこの補助線が重なった部分(例:ピンクの丸)を、ポイントにしたい家具などの対象物に合わせるとバランスが取りやすいですよ。
⓷上から目線はほどほどに
狭い部屋でのインテリア写真でありがちな失敗が、上からの目線で撮ってしまうこと(写真C)。
つまり、写真を撮る際、立ったままの姿勢など高い位置から撮影してしま
うことです。
Geoff 「高い位置からの写真は、カジュアルな雰囲気にはなりますが、ワンルームだと空間を狭く見せてしまい、奥行きも無くなってしまいます。逆に低い位置で撮影すると、奥行きが広がってワンルームでも圧迫感が無くなりますよね。インテリア雑誌でもよく使われる手法です」。
★アングルの違うインテリア写真の例
目線を低くすればシンプルでお洒落 上からアングルはカジュアル
Step.2 早速撮ってみよう!
➀代役もOK!三脚代わりになるものを
室内の撮影をするとき、三脚があるのがベストだけど、持っている人の方が少ないですよね。
そんなときは、家にあるものを代わりに使いましょう♪
Geoff 「低い目線を意識すると、こんな感じの椅子がちょうどいい感じ。最近はスマホのカメラも優秀なので、手振れはしにくいですが、しっかりと肘を固定して撮影すると、よりキレイな写真が撮れますよ」。
➁シンプル・イズ・ザ・ベスト
いざ写真を撮ってみると、「なんかちょっと寂しいかも?」と、物を増やしてしまうことってありませんか?
Geoff 「 でも実は、それくらいのシンプルでいいんです! 物を増やしてスペースをつぶしてしまうと、最初に決めた本当に見てほしいポイントがぼやけてしまいます。
もし、どうしてもシンプル過ぎると思う場合は、物を増やすのではなく、スペースのバランスを調整してみましょう」。
Step.3 光を味方につけよう
➀自然光がベスト
Geoff 「 自然光が入る空間であれば、その光で撮影するのがベスト。
その際、直射日光がたくさん入る時間帯ではなく、柔らかい光が入る程度の時間帯を選ぶと失敗しにくいですよ」。
上の写真(D)は、部屋の照明を付けて撮影したもの。くっきりと隅々まで写りますが、どこか寒々しい感じがして、証明写真のようにお洒落度も低くなってしまいます。
さらに照明がLEDの場合は、緑色っぽく写ってしまうので注意!
➁スマホの「HDR」を活用する方法も
これまでの写真を見てみると、窓の部分がすべて白くなって飛んでいるのがわかると思います。
これは、ピントを暗い部屋の中に合わせて撮影しているため、窓の方が明る過ぎてしまうから。
反対に窓にピントを合わせると、部屋の中が暗過ぎ、つぶれて見えなくなってしまいます。
こんな時に、スマホの「HDR」機能を使うと、より幅広い明るさで表現できるんです。
仕組みとしては、明るさの違う複数枚の写真を自動で合成することによって、「白飛び」や「つぶれ」が軽減されるというもの。
明るさが極端に違う場面や、窓の外も写したい時などに活用するのもおすすめです。
Step.4 小物を可愛くオシャレに撮影
➀とにかく窓のそばへ
小物を撮影するなら、とにかく窓のそばへ! 自然光で撮影しましょう。
さらに窓の向かい側に光を反射できる白い板状のものや、ボール紙、布などを置くと光が全体に回ってキレイに撮ることができますよ。
★白いボードの有無で変化する明るさ
窓の反対側、写真の左側に白いボードを置かない場合は、窓から遠い写真の左側が暗くなってしまいます。
反対に、ボードを置いた場合は写真の左側にも光が回り、ふんわり明るくなっています。
➁ライトで撮るなら、あのキッチン用品を
ふんわりと緩めに付けましょう。
太陽光がない場合は、家にあるフロアライトと、キッチン用品を使って即席の照明を作ることもできます。
それがコチラの写真。フロアライトに「キッチンペーパー」を貼ることで、ふんわりと柔らかな光をつくることができます。
その際、光源からペーパーを離して緩めに付けた方が、さらに柔らかな光を作ることができますよ。
Geoff 「キッチンペーパーを付けないと、ライトの光で影が濃く出てしまいます。ちなみに、光源に近くなればなるほど影が出やすく、コントラストが強くなり、遠くなると全体的に暗くなります」。
※キッチンペーパーは、電球などに直接付けると火災の原因になりかねません。スタンドの笠などにゆるめに貼り、撮影後はすぐにはがしましょう。
Step.5 ワンランクアップ!一眼レフを手に入れたら
➀ぜひ三脚も一緒に!
写真を撮るのが楽しくなって、「一眼レフカメラ購入しちゃった!」という人に、簡単なインテリア写真のポイントを解説します。
Geoff 「一緒にぜひ購入してほしいのが三脚。今は女性でも持ち運びしやすい軽くてコンパクトなものもあるので、手軽に使うことができますよ。また、水平を測る水準器もあると便利。三脚に付いているものや、別で水準器を購入するとインテリア写真もグッと撮りやすくなります」。
➁とりあえずコレを押さえておけば大丈夫!
カメラで写真を撮る際に、最初に抑えておきたいのが、「絞り値(F値)」「シャッタースピード(S)」「ISO感度」の3つ。
簡単に説明すると…
■ISO感度
一言で言うと「暗さへの対応力」。各メーカーの機種によって、ISO感度は100~25600程度まで幅広く設定されていますが、ISO感度を高く設定すればするほど暗さに強くなります。
どういうことかというと、暗い場所でも明るさを電子的に増幅させることができるんです。
しかし、ここでネックなのが、その分ノイズが発生して画質が荒くなってしまうということ。
ですからISO感度は、高くすればよいというわけではありません。
■シャッタースピード
シャッタースピードは、「光を取り込む時間」。
カメラ上では、シャッターを切る速さで「1/50」といったふうに「秒」の数値で表記されています。
数値が低いほどシャッタースピードが遅くなるため、光を取り込む時間は長く、手振れに注意しなければなりません。
暗い場所で撮影する場合は、より光を多く取り組む必要がありますので、シャッタースピードも遅くしなければならないというわけです。
■絞り値
絞り値はカメラ上で「F8.0」という風に表記され、F値とも呼ばれます。
この絞り値は、大きければ「ピントの合う範囲が広く」、小さければ「ピントの合う範囲が狭くなり」背景や周りがボケやすくなります。
➂すぐに撮れる基本の設定教えます!
この3つの基礎はなんとなくわかりましたか?でもやっぱり、これを使いこなすのって難しいですよね。
なので、「インテリア写真を撮るなら、だいたいこんな感じ!」という数値をGeoffに教えてもらいました。
以下の数値を参考に、ご自身で調整しながら、自分好みのベストショットを狙ってみましょう♪
■三脚ありの場合
・シャッタースピード ⇒ 1/80
※三脚があればシャッタースピードが遅くてもOK。
・ISO感度 ⇒ 100
・絞り値 ⇒ F8~11
※はっきりと写したいのなら「8」くらいがおすすめ。
【ワンポイント】
三脚を使用できるときに数値を決定する順番は、「ISO感度(低めに)→ 絞り値 →シャッタースピード」がおすすめ。
■三脚なしの場合
・シャッタースピード ⇒ 1/80以上
※1/50秒の場合は、手振れの心配が大きいため、かなりの固定が必要。
・ISO感度 ⇒ 200程度で上げ過ぎない。
・絞り値 ⇒ F8~11
※インテリア写真はボカす必要がないから高め数値で調整。
【ワンポイント】
三脚がないときに数値を決定する順番は、「シャッタースピード→ 絞り値 →ISO感度(できる限り低めに)」がおすすめ。
まとめ
インテリア写真のイイ感じの撮り方、少しは役に立ったでしょうか?
構図や光、ちょっとしたポイントを押さえるだけでも、SNS映えするお洒落な写真が撮影できます。
でも、今回ご紹介した方法はあくまで基本の基本。角度や明るさなどを変えて、自分らしいインテリア写真を模索するのも楽しいですよ♪