「木材」のプロに聞きました!木の魅力やインテリアへの取り入れ方

家の床や天井、柱に建具、テーブルなどの家具、さらに最近ではDIYの素材といったふうに「木材」は日本で昔から身近な天然素材として慣れ親しんできました。でも、身近な素材だからこそ、わからないことってありますよね?
今回はそんな木材の魅力や、インテリアにおすすめな木材選びなど、木の魅力にハマり過ぎて、木を知り過ぎた男・Woodyに教えてもらいました♪


お話を聞いた人/木材のプロ「Woody」
子どもの頃から木の魅力にハマり、大学ではバイオマス分野の勉強に専念。大手建具メーカーで10年以上勤務し、そこでも木の知識を増やし続けました。現在は、友安製作所工務店の営業担当として、日々「木とインテリアの融合」を提案中!

インテリアから地球にイイこと?「木の魅力」について

Photo by Casey Horner on Unsplash

木の魅力というと、耐久性や断熱性、リックス効果や調湿機能などいろいろありますが、なかでも今回トモヤスタイムズでお伝えしたいのが、世界のインテリアトレンドでも注目されるサステナブル(Sustainable)= 持続可能な(※) 」 という魅力。
木材がサステナブルって、どういうことなんでしょうか? Woodyに聞いてみると…
“木は唯一の再生可能資源”なんです。バイオマス資源である木材は、伐採後に植林すれば再生産することが可能! それってスゴイことだと思いませんか!?」。
さらに木材は、柱や板から木質ボード、紙、そしてバイオマスエネルギーへというふうに形を変えながら何度も利用することができます。
レジ袋の有料化など、私たちの周りでも環境をめぐる変化が身近になった今、木材の「未来に残せる持続可能な資源(サステナブルマテリアル)」という魅力は、とても貴重なものなんです。

ちょっと難しいお話になってしまいましたが、つまりは、私たち自身が素材に木材を選択することで、環境保全にも貢献できるということ。
世界のインテリアやファッショントレンドでも、「サステナブル」のテーマは大きく取り入れられています。皆さんのおうちのインテリアでも、そんな地球にやさしいトレンドを取り入れてみてはいかがでしょうか?

※ 持続可能な社会とは、地球の環境を壊さず、資源も使いすぎず、未来の世代も美しい地球で平和に豊かに、ずっと生活をし続けていける社会 のこと。

インテリアに木材を!

Photo by Paul Hanaoka on Unsplash

「建物の構造自体に木材を使うことはもちろん、床や天井、柱、造作家具や建具など、インテリアの中にもどんどん木材を使ってほしいと思います。木材は加工もしやすく、種類によって色などの見た目も違うから、選択の幅も広がります」とWoody。
また、アイアンやコンクリート、ステンレスなど、全く性質も見た目も異なる素材とのコラボも、木材ならしっくりと馴染むので、インテリアにぴったりなんです。

●木の種類と特徴「無垢材とそうでないもの」

Photo by Joey Kyber on Unsplash

一言に木材といっても、いろんな種類がありますよね。
「まずはじめに、木材には製材品としてそのまま利用する“無垢材(むくざい)”と、接着剤で合成した“集成材”があります。集成材はいわば半分人工物です。それぞれメリットとデメリットがありますので、それを理解した上で選んでほしいと思います」。

≪無垢材と集成材のメリット・デメリット≫

メリットデメリット
無垢材・木そのものの質感や色合いが楽しめ、温もりがある。
・集成材に比べて、調湿性能が高い。
・水を吸うための導管に空気を含んでいるため、暖かさもある。
・用途や好みによって、いろいろな木の種類から選ぶことができる。
・接着剤を使っていないため、シックハウス症候群を起こしにくい。
・反り、曲がり、縮みが出る場合も。
・柔らかいために傷つきやすい(それが味になる場合も)

集成材 ・端材を集めて作っているため、安価に手に入る。
・乾燥された部材のため、施工後の反りや曲がりなどが少ない。
・接着して製造するため、様々なサイズなど、自由に作れる。
・接着剤を使っているため、シックハウス症候群の原因になる場合がある。
・まだ集成材自体の歴史が浅いため、接着剤の耐久性が未知数。
★Woody’s points★

「僕自身も集成材を使うことはありますが、そのときはできるだけ良質の物で、上から色を塗る必要がある時に使用しています。どんな素材でもそうですが、その特徴を知ることで、用途や好みに合わせた使い方が可能になります」。

インテリアにおすすめの木材

「床材や造作家具など木材の素の色を生かして、インテリアと融合するのがおすすめです。木材それぞれに色味や風合いが違うので、好みのインテリアスタイルにマッチするものを選びましょう。また、安定して供給されている木材を選ぶこともポイントです。珍しいものを選ぶと、数が足りなくなったり、予算オーバーになってしまうことも」とWoody。
次にWoodyおすすめの無垢材をご紹介しますので、ぜひインテリアを考える際に参考にしてみて下さい。

◎ナチュラルやフレンチシックなら明るめ【メープル】

メープルと言えば、メープルシロップをイメージする人も多いのでは? 
まさしくそのシロップが採れる木であり、日本では「カエデ」と呼ばれています。床材や造作材として使われることが多く、白っぽく明るい色で、フレンチやナチュラルインテリアにもよくマッチします。
固く粘りがあって衝撃に強いことから、ボーリングのレーンやバスケットボールのコート、ダンスホールにも使われているんです。

★Woody’s points★

メープルの代わりに、同じように明るめの「ナラ(=オーク)」が使われることもあります。ナラは、虎の模様のような虎斑(トラフ)が特徴です。

◎落ち着いた大人のモダンインテリア【ウォルナット】

ウォルナットの特徴は、そのチョコレートのような濃いブラウン色。落ち着いた印象や高級感を与えるカラーは、塗料の色を表現する際に「ウォルナット色」という呼び名があるほど人気です。
なかでもブラックウォルナットは、チークとマホガニーとともに、世界三大銘木に数えられるほどの美しさ。高級感のある色味は、高級外車のインパネにも採用されています。
ちなみにブラックウォルナットはクルミ科に属し、私たちにも馴染み深いクルミの実を実らせます。

★Woody’s points★

濃い色の木材を床材として使用すると、ほこりなどが目立ちやすいのがネック。しかし、反対に傷などは目立ちにくくなりますよ。

◎ヒノキに似ているリーズナブルな木材【ツガ】

日本の寺社仏閣にも使われ、高級木材とされるヒノキ
杉に次いで日本の代表的な木材とされるこのヒノキに似た見た目を持ち、比較的安価に手に入るのが「ツガ」です。
上記の写真を比べてみても、2種類の風合いが似ているのがわかりますよね。

◎DIYするなら渋い節が個性的な【アカマツ】

強度や耐水性に優れ、日本では建築建材とした古くから使われてきたアカマツ。日本全国に分布し、ホームセンターでも手に入る木材なので、DIYにも最適です。また、味のある「節」も大きな魅力。昔は節がないものが良いとされていましたが、最近ではその節が個性となって、ユニークなDIY作品に仕上がると人気です。

◎高級木材【チーク】とリーズナブルな【メルサワ】

世界三大銘木の一つ「チーク」は、強靭さや耐久性、経年変化すると飴色に輝く美しい見た目が魅力。しかし、チークは現在ほとんどの地域で伐採が禁止されているうえに、輸入も禁止されているので、日本国内で手に入れることはできません。
そのため、代用品としてチークに似た「メルサワ」がおすすめです。色味もチークに似た明るい茶褐色で、造作家具などに使うと経年変化を楽しめます。

Woodyのおすすめ【イチイ】おしゃれなカウンター材にも

「イチイ」の木は、加工性が良く、狂いも少ないことから、家具の装飾部分や木彫り彫刻などにもよく使われてきました。名前の由来も、昔、仁徳天皇がこの木で 笏 (しゃく)を作らせ、その見事な出来栄えに感激し、当時の最高位の官位「正一位」授けたという逸話がもとになっています。そのくらい繊細な彫りなどに向いている木材なんです。
Woodyのオススメは、「イチイの木で、カウンターを作ること!」。経年変化では、徐々に落ち着いた褐色になる様子を楽しめます。皆さんも、イチイの木で、世界で一つの造作家具を作ってみては?

「木目」も選ぶポイント

好みの種類の木材を選んだら、次は「木目」にも注意してみましょう。木目の種類と特徴についても、 Woody に教えてもらいました。
「木目には、一般的に『柾目(まさめ)』と『板目(いため)』があります。これは木のカット方法の違いなのですが、それぞれの特徴として、柾目は時間が経っても狂いにくく、まっすぐなラインですっきりとした印象に。板目はその模様が生きた力強い印象になります」。

「また、上の写真のような「節(ふし)」がある木材も味がありますよね。
節ナシですっきりシンプルにするか、節アリで個性を出すか…。ただし、節は多すぎるとうるさい印象になってしまうので注意が必要です」。

木材の豆知識

木の年輪には、夏の間に成長した「夏目(なつめ)」と、冬の間に成長した「冬目(ふゆめ)」というものがあります。上の画像で見ると、濃い線の年輪が冬目で、その間の薄い色の年輪が夏目です。これは、冬と夏の成長スピードの差からつくられるもの。
「一般的に夏目は柔らかい分、傷付きやすく、冬目は固い分、夏目より浮いてくると言われています。この特性を生かし、ブラッシングをしてわざと年輪を際立たせて凹凸を楽しむ『浮造り(うづくり)』という加工方法もありますよ」。

Woodyからアドバイス

「木材をインテリアに融合させることをおすすめしてきましたが、一つ注意が必要なのは、インテリア全体の中の木材の割合。いくら無垢の木材が自然素材で体にいいものだと言っても、すべてに使いすぎてしまうと飽きが来てしまいます。
程よいバランスを考えて、アイアンやコンクリート、ステンレスなど異素材とのコラボも楽しんで下さい。
友安製作所工務店のリフォームであれば、そういった木材を取り入れたインテリアデザインもご提案しています。ぜひ気軽にお問い合わせください!

友安製作所工務店