「interview生きるをあそぶ人」は、友安製作所のスローガン『生きるをあそぶ』をもとに、自分らしく人生を楽しんでいる人にお話を伺うインタビューシリーズです。
第7回は、大阪府八尾市で自宅を兼ねた小さな花屋を営む、小菅晃子さん。あなたにとって、自分らしい人生とは?
友安製作所が本社を構える大阪府八尾市。多くの工場が並ぶものづくりの街であると同時に、約26万人が穏やかに暮らすベッドタウンでもあります。ある日、会社近くの住宅地でスタッフがみつけた小さな花屋が、今回訪ねた「Mersig(マーシグ)」さんです。インテリアの撮影につかうお花を探して立ち寄ったところ、なんとお店の壁には、友安製作所の壁材「SNiON」がびっしり。個性的なお花が並ぶ、素敵な空間にマッチした「SNiON」を見て、思わずスタッフが声をかけたことで、意気投合したのでした。
「生きるをあそぶ人」第7回は、そんなご縁でつながった「Mersig」店主、小菅晃子さんをご紹介します。
わたしは好きを仕事にしたい
小菅さんがお花に興味を持ったのは、就職先を探していた大学生の時のこと。学生時代は陸上競技が大好きで、体育大学に通っていましたが、「なりたいもの」は特になかったといいます。 ご両親の影響で、自分も教師になるのかなとぼんやり考えていたそうですが、大学生活も終盤、いざ進路に向き合う中で「好きなことを仕事にしたい」という気持ちに気がつきました。 それから必死に調べたり、様々なものに触れたりするうちに、ふと心に留まったのが「お花」でした。 「ドラマか何かで見たんですかね。お花で空間を飾るような仕事があると知って、これだと思ったんです」。
一度決めたらとことんやり抜く性格だという小菅さん。1年間専門学校に通いなおし、お花の知識を身につけました。その後、大阪府内で複数店舗を運営するお花屋さんに就職。対面でお花を届ける楽しさを覚え、フローリストとして成長していきました。尊敬できる人のもとで働く充実感もあり、当時は「自分のお店を持とう」という気持ちはまったくなかったといいます。

転機が訪れたのは、2児の母となりライフスタイルが変化したタイミングでした。家族との時間を大切にしたいし、お花屋さんも続けたい。そんな想いの中で揺れていたとき、「自宅兼花屋」というスタイルでお店を営む知人のことを思い出し、新しい働き方のイメージが湧きました。そして「花屋をやりたいから、家を建てたい!」 と意を決して旦那さんに伝えたところ、少し拍子抜けするくらいすんなりと賛成してくれたそうです。それならば、「やりたい!」という熱が冷めないうちに動き出そうと、覚悟を決めた小菅さん。 「私、決まったら突っ走るタイプなんですよ。だけど心配症なところもあって、考えすぎると動けなくなってしまう。だから、今がチャンスやと思って、自分を奮い立たせました」そうして、小菅さんの自宅兼お店づくりがスタートしました。
我が家らしいお店づくりを
「Mersig」という店名は、「融合する・溶け合う」「心地いい空間」を表す、2つの言葉を合わせた造語。そこには、小菅さんの目指すお店の姿が込められています。
「自宅とお店を兼ねる以上、どうしても家族を巻き込んでしまう。それなら何か一緒にできたら楽しいだろうなと考えたんです。主人はパン屋につとめる職人なので、実は店内には小さなパン工房も設けました。お花とパンを一緒に楽しんでもらえるお店になれば、うちらしいかなって」。
実際に、オープン記念で販売した旦那さん特製のカヌレは大好評。現在は、不定期のイベントとして販売日を設けています。「私や夫が、それぞれの要素を活かしてお店をつくりあげていく様子をみて、子供たちも何か影響を受けてくれたらいいな」と小菅さん。最近は、息子さんが遊びに来たお友達に、自分のおすすめのお花を紹介している姿を見かけ、嬉しかったといいます。
そして、家族の個性を融合したお店が、いずれ街に溶け込んでいくことを願っています。小菅さんは、生まれも育ちも八尾市。「自宅を構えてお店をするなら、絶対に八尾で」と決めていたそうです。 自分が暮らす大好きな街に馴染み、そっとそこに在るような、そんなお店を目指しています。
「Mersig」に並ぶお花たちは、街でよく見かけるお花屋さんとは一味違う、どこか特別な雰囲気をまとっています。まるで、こだわりの品を揃えたセレクトショップのような印象です。その理由を尋ねると、「私にとってお花は『癒し』よりも『刺激』なんです。『なにこれかわいい!』と、ズキンと心を射止められるような感覚を大切に選んでいます」と小菅さん。 ある日、常連さんから「今日もとがってんな〜」と言われたことがあり、それがすごく嬉しかったのだそう。自分の感覚がお客様にも伝わっている。そう実感できたことで、この感性をより大切にしようと意識するようになりました。
小菅さんにとって、お花を褒められることは、自分の子どもを褒められているのと同じこと。お花一つひとつへの愛情があって、その良さを伝えるのが自身の仕事なのだといいます。そしてその魅力を引き出すために、お店全体のバランスを考えてお花を仕入れています。
お花の仕入れは、早朝の市場で。お子さんたちが寝ている間に出向き、帰宅して学校へ送り出すというスケジュールは大変ですが、必ず自分の目で見て選ぶのが小菅さんのこだわりです。
お花とわたしを受け止める、頼もしい場所
のびのびと、どこか凛とした佇まいで並ぶ「Mersig」のお花たち。それぞれに個性や魅力があるからこそ、空間づくりのテーマは「シンプルさと可変性」でした。小さな空間の中でも、季節ごとに変化をつけたり、その時々の好みを反映できたりするようにと、工夫が施されています。
はじめてのお店づくりは、とにかく決めることが多くて大変だったそう。 「準備期間は本当にバタバタでした。でも空間づくりでは、信頼できるインテリアコーディネーターさんに出会えたことで、理想がかたちになっていきました。『SNiON』も、その方のすすめで知ったんですよ。陶器のタイルは可愛らしい印象になりがちだけど、SNiONはステンレスの質感がとてもスタイリッシュで気に入りました」。
マグネットがくっつくというSNiONの特徴も活かし、スワッグやリースを飾るディスプレイとしても役立てられています。お花を並べるメインの什器も可動式なので、思い立ったらすぐに並び替えているのだそう。お花の個性に寄り添うことを一番に考えているからこそ、その時々のお花たちや、小菅さんの気持ちを受け止めてくれる。そんな頼もしい空間になりました。 「お店にいる時間が大好きで、いつまでも居たいと思ってしまうこともあります。眺めているだけでも安心できるような、そんな場所です」。

多くのこだわりを大切に育てている小菅さんですが、それは、お店を始めてから起きた変化だったといいます。
「私には姉がいて、これまでは『お姉ちゃんのあとを追いかけてきた人生』だと思っていたんです。でも、自分でお店をつくったことで、『意外と自分の好きってあるんだな』と感じられました。それが自信につながったし、今も少しずつ、新しい自分を見つけていっている感覚です」。
そう語る小菅さんの横顔は、なんだかとても楽しそうでした。
これからのこと
家族や、街のペースにあわせて、ゆっくり、しっかりと歩みはじめて2年。 これからの「Mersig」について尋ねてみると、「日々成長」と、なんともストイックな答えが返ってきました。
「止まっておけないし、だから飽きない。細く長く続けていきたいので、その土台をつくっていきたいです」 その言葉からは、お花やお店と誠実に向き合う、小菅さんらしさが感じられます。
パンとお花のギフトなど、家族との「融合」にも、もっと力を入れていきたいのだそう。お子さんたちが大きくなっていくにつれて、また新たな融合のかたちが生まれていくのかもしれません。
そして、八尾の街との交わりも大切にしていきたいといいます。最近では地域のイベントに積極的に参加するなど、お店を飛び出しての発信にも力を入れています。

実は少し人見知りで、普段は自分を出しきれないところもあるという小菅さんですが、接客は大好きなのだそう。 お花を通してコミュニケーションをとることで、まるで趣味の合う友人のように感じられ、自然と会話も弾みます。
「お花を見がてら、話に来てくださいという気持ちでいます。地域に愛されるお店になりたいですね」。
「好き」を見つけながら、自分のペースで歩んでいる小菅さん。 そんな素敵な「生きるをあそぶ人」と、身近な偶然で巡り会えたことを、とても嬉しく思います。
私たちはこれからも、友安製作所の商品とともに、自分らしい暮らしを楽しむ方々との出会いを広げていきたいと思っています。あなたの街に暮らす「生きるをあそぶ人」を見つけたら、ぜひ友安製作所に教えてくださいね。
友安製作所では、カンパニースローガン「生きるをあそぶ」を、「自分らしく人生を楽しむこと」と考えています。
弊社の商品を愛用しながら、そんなユニークなライフスタイルを送っているお客様を、私たちは探しています。 「こだわりのDIYを見てほしい」「お気に入りの空間を紹介したい」という方、ぜひその素敵なお話を聞かせていただけませんか?
インタビューを希望される方、また身近な「生きるをあそぶ人」をご存知の方は、こちらのフォームよりご連絡ください。
















花屋「Mersig(マーシーグ)」店主。2児の母として家族と仕事を両立したいという想いから、2023年に八尾市安中町の自宅でお店をオープン。