ホルムアルデヒドは、シックハウス症候群の原因とされる代表的な存在として知られる化学物質です。
一体どんなものなのでしょうか?そこで今回は『ホルムアルデヒド』について解説したいと思います。さらにシックハウス症候群についてやホルムアルデヒド発散等級であるF☆☆☆☆(フォースター)などについてもご紹介したいと思います。
ホルムアルデヒドとは?
ホルムアルデヒドとは、水素、炭素、酸素からできているものです。自然界にも普通にある化学物質です。身近なところでは「シックハウス症候群」を引き起こすものとして代表的な存在です。
常温では無色透明ですが独特なツンとしたニオイがします。性質としても水や水蒸気、空気に溶けやすいです。
ホルムアルデヒドはこんなところに潜んでいます
この化学物質は、塗料、接着剤、合成樹脂の原料、合板などに含まれることが多いです。壁や天井、押し入れ、フローリングなどでよく使用されています。そのほか、木製家具にも使用されている場合があります。
特に1980年代~1990年代にかけては、 ホルムアルデヒドを発散させる建築材料(建材)で建てられた住宅が多いです。また、省エネ対策としてアルミサッシ、断熱材などが使用されて、高気密、高断熱化されたことで、家そのものにすき間がなくなってしまい、室内に化学物質が充満しやすくなっているともいわれています。そのため、新築やリフォームしたての住宅でも症状が出る可能性があります。
健康被害が広がったため2003年、改定建築基準法で「内装仕上げに使うホルムアルデヒドを発散する建材の面積制限」「全ての建築物に機械換気設備の設置を義務付け」「天井裏などから居室へのホルムアルデヒドの流入を防ぐための措置」といった規制が行われました。2015年には建材への使用も厳しい制限がかけられるようになりました。
そのほかでは、薬事法では化粧品への配合禁止や家庭用品は基準値が設けられています。
シックハウス症候群はどんな病?
シックハウス症候群とは、化学物質、カビやダニなどによる室内空気汚染により引き起こされる健康障害です。英語では「 Sick House Syndrome 」といい、略すと「病気の家」です。医学的に確立された単一の疾患ではなく、住宅に由来する様々な健康障害の総称を指しています。
シックハウス症候群の主な症状について
人体への毒性は強く、粘膜などを刺激します。具体的な症状としては、皮膚の紅斑(こうはん)、じんましん、湿疹、肌荒れ、めまい、吐き気、嘔吐、頭痛、です。鼻へは刺激感、乾燥、鼻水、目に対してはチカチカする症状や涙目、口は唇の乾燥、せき、のどの渇きなどです。
さらに日常的に吸引や触れていたりすると、不眠や集中力の低下、だるさ、微熱が発生したり、ひどい場合はガンや白血病を引き起こす可能性があるとされています。また、長時間となると慢性毒性中毒症状となり、過剰反応を起こし症状を悪化させる恐れがあります。
トルエン 発生源は油性ニス、接着剤、木材保存剤などで、影響は神経行動機能、生殖機能低下 |
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キシレン 発生源は油性ニス、ペイント、接着剤、木材保存剤などで、影響は新生児の中枢神経発達への悪影響 |
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アセトアルデヒド 発生源は接着剤、防腐剤で、影響は成長遅延、鼻膣粘膜の異常 |
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クロルピリホス 発生源は防蟻剤で、影響は生殖器の構造異常 |
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カビ・ダニ 影響はアトピー性皮膚炎やぜん息などのアレルギー疾患 |
ホルムアルデヒド発散等級とは
建材から発生するホルムアルデヒドの放散量に合わせて「ホルムアルデヒド発散等級」が設けられています。等級は第1種~第3種と法規制対象外の4段階で表示されます。これは住宅性能表示制度により部屋の内装仕上げ材や、換気扇が設置されていない天井裏などの下地に使われている、特定の建材から発散される量を示すためのものです。
等級ごとにF☆☆☆☆、F☆☆☆、F☆☆、とマークが表記されており、これは国土交通大臣認定、日本農林規格(JAS)、日本工業規格(JIS)などに基づき表示されています。
建築材料の区分『建築基準法の規制対象外』 放散速度5㎍/㎡h以下はF☆☆☆☆を表示 内装仕上げの制限:制限なしで使用できる |
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建築材料の区分『第3種ホルムアルデヒド発散建築材料』 放散速度5㎍/㎡h~20㎍/㎡hはF☆☆☆を表示 内装仕上げの制限:使用制限があり床面積の2倍まで |
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建築材料の区分『第2種ホルムアルデヒド発散建築材料』 放散速度20㎍/㎡h~120㎍/㎡hはF☆☆を表示 内装仕上げの制限:使用制限があり床面積の0.3倍まで |
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建築材料の区分『第1種ホルムアルデヒド発散建築材料』 放散速度120㎍/㎡h超は旧E2、Fc2または表示なし 内装仕上げの制限:使用禁止 |
星の数が多いほど、放散量が少ないということがわかります。
『㎍/㎡h』とは、化学物質の放散速度を表示する時に使われます。㎍(マイクログラム)は質量の単位で、1gの100万分の1の重さを表しています。㎡は建材1㎡を意味し、hは1時間当たりを指しています。
つまり5㎍/㎡hの場合、1㎡の建材から1時間当たり5㎍分の化学物質が発散されていることになります。
上記の枠内にもあるようにF☆☆☆☆の5㎍/㎡h以下と比較して、使用禁止レベルの120㎍/㎡h超がいかにホルムアルデヒドを発散しているかが分かりますね。
家具業界も自主的に表示
また、家具業界の自主表示制度として「室内環境配慮マーク」もあります。これは、家具に使用される合板、繊維板、パーティクルボードや接着剤が、F☆☆☆かF☆☆☆☆のもので、塗料はホルムアルデヒドを使用していないこと意味しています。 (出典:一般社団法人日本家具産業振興会)
化学物質対策はどうすればよいか?
改正建築基準法などにより、環境中の化学物質の濃度は下がってきました。また、シックハウス症候群に関する相談件数も徐々に減少しているそうですが、それでも症状を感じる方はいるかと思います。ここでは対策についてご紹介したいと思います。それが以下の通りとなっております。
・窓はなるべく複数あけて、汚染空気を出しながら新鮮な空気も入れる
・夏場は高温高湿により化学物質の発散が増えるので、窓は締め切らないようにする
・換気設備は定期的に掃除をする
・新築やリフォーム当初は多く発散されているため、しばらくは換気を十分に行う
・新築を建てる場合、化学物質の放散量を抑えた建材、塗料、接着剤を使う
・元ある住宅の場合、化学物質が発生する生活用品を持ち込まない
・問題となる発生源を除去する
といったことが対策となっています。
実は建築基準法が改正された際、一般住宅の換気回数は義務付けられています。目安は2時間に1回5~10分ぐらいです。夏や冬はエアコンを使って窓を閉めっぱなしにしがちですが、なるべく開ける方が良いでしょう。
有害物質を吸収する商品があります
ここでは友安製作所で取り扱っている商品で、有害物質を吸収してくれるものがあります。そのうち2点ほどご紹介したいと思います。
ひとりで塗れるもん
ひとりで塗れるもんの主原料は炭酸カルシウムを主成分とした石灰石。天然素材の室内用塗り壁材です。
炭酸カルシウムの効果としては、揮発性有機化合物に対する高い吸着機能、湿度調整、消臭、断熱、保湿、防カビです。商品からもホルムアルデヒドが発生しません。
「ひとりで塗れるもん」は、やわらかい素材のため塗りやすく、DIY初心者でも安心して壁紙の上から塗ることができます。
女性でもお子様でも簡単に施工できるうえ、塗った人の個性が生かされる商品です。塗り直したい時は霧吹きで水をかけるだけでOKなので、とにかく楽しめる壁材です。
ベーシックカラー12色は淡い優しい色ばかり。種類はピュアホワイト、ナチュラルベーシュ、ゴッツピンク、こけむらさき、ゴージャステラコッタ、頑固ブラウン、カーミーブラウン、スマートブルー、フルーティーベージュ、ヴィクトリアグリーン、バウミントをご用意しています。
さらに 友安製作所オリジナルカラーとして、トミーブルー、アリスブルーグレー、コテコテゴリラブラックがあります。
【友安製作所オリジナルカラーの詳細はこちら】
調湿・漆喰タイルシール「ハルカラット」
調湿・漆喰タイルシール 「ハルカラット」は、漆喰(しっくい)のため、主原料は水酸化カルシウムを主成分とした消石灰です。
消石灰は、焼いた石灰石に水を加えて熟成させたものです。効果としては、ホルムアルデヒドの吸収・分解、カビや細菌の発生を抑止、保温・断熱性、消臭機能があります。さらに自然素材で作られているので、揮発性有機化合物を含んでいません。
ハルカラットは自然素材でできているので、家族と環境に優しいタイルです。接着剤やパテなどは必要なく、裏面に貼ってある剥離紙をはがして壁に貼り付けるだけで、おしゃれなタイル張りに変身させることができます。さらに賃貸物件向けにも貼ってはがせるタイプがありますので、気軽に貼り付けることができます。
部屋の壁だけでなく、靴箱の中やペットハウスの周辺などにもお使いいただけます。
雑学:観葉植物は有害物質を除去しない?
NASA空気清浄研究が1989年に発表した、観葉植物による空気清浄の結果によれば、例えば、シダ属のネフロレポスを置くとホルムアルデヒドを自然と除去してくれるそうですが、この効果はないに等しいそうです。
実験はすべて実験室内で行われ、室内に置いた観葉植物が様々な有害物質を除去できると結論付けられました。しかし、米ドレクセル大学・室内空気質の専門家であるマイケル・ワイリング氏によれば、実験は、小さな容器に植物を置いて、有害な気体である揮発性有機化合物にさらすのが典型的なやり方とのことです。つまりは気体を密に入れた空間とごく普通の住宅・オフィス環境では、違いが大きいということが分かります。
観葉植物で空気の質を変えるほどの揮発性有機化合物を除去するには、約30㎝四方に10本ほど植物が必要になるとのことです。約45㎡だと5000本。これはほぼ室内が森状態になる本数です。厳密にいえば、わずかに毒素は取り除いているとのことですが、空気清浄機や換気と同じくらいの効果を得るには、現実的な量ではありません。
室内空気を改善する最も効果的な方法は発生源をなくすことであると、専門家たちは話しています。
【参考資料:ナショジオニュース「ナショナルジオグラフィック日本版」より】
とはいえ、観葉植物をお部屋に置くとインテリアにもなりますし、何より生き物ですので愛でる気持ちが癒しに変わるはず。大切に育ててあげると植物も喜んでくれると思います。有害物質を吸収するかよりも、一緒に暮らしていくことの幸せさを感じることが大事かもしれませんね!
終わりに
いかがでしたでしょうか?ホルムアルデヒドがもたらす、シックハウス症候群の怖さなどを知っていただけたかと思います。
シックハウス症候群は当然ながら個人差があり、過敏に反応する人もいれば、そうでない人もいます。それでも、健康障害となるものはできるだけ取り除きたいですよね。
換気をすることで対策にもなります。さらにDIYをする時は「ホルムアルデヒドF☆☆☆☆」を目安に購入することで、未然に量を減らすことができます。そのほか、どれだけ原料として使用されているかなどについて、事前に各メーカーなどに問い合わせるのも悪くないでしょう。
また、ホルムアルデヒド以外の揮発性有機化合物にいついても、知識を深めるといいかもしれません。年々、濃度は低くなっているとはいえ、意識してなるべく影響がないように努めたいですよね。