2025年9月10日、友安製作所が企画・デザイン・製造すべてを自社で担うオリジナルブランド「TEKKI CRAFT(テッキクラフト)」は新たに「by TOMOYASU S.S.(バイトモヤスセイサクショ)」として生まれ変わりました。“国境を越えて世界へ、友安製作所から想いを込めた製品を届けたい”という願いが込められたブランド名になっています。
また今回のリニューアルは、ブランド力の強化や商品の価値を伝えるだけではなく、その先にあるお客様のライフスタイルの価値まで提案したい。そんな覚悟を持って、新ブランドが立ち上がりました。
ブランドの大幅リニューアルプロジェクトに携わることとなった企画課・Vivi、製造課・Punch、Peter、ブランドコミュニケーション課・Cuminの4名。立場の異なる4人が語り合う「by TOMOYASU S.S.」とは──。ブランドリニューアルの裏側から、by TOMOYASU S.S.が展開していく価値、それぞれが描くブランド未来の展望について対談を行いました。11月入社の新人ライター・Pohが聞き手となり、根掘り葉掘り話を聞いています!
前編では、ブランドリニューアルの背景と新しく決めたコンセプト、想いの伝え方について、詳しくお届けします。


デザインや製造を担当しているPunchです! 企画担当と連携しながら、by TOMOYASU S.S.の立体的なデザインや手触り、質感など製造技術で実現できるデザインなどを設計しています。自分が施した構造デザインが製造によって上手く形にできた時が一番のやりがいです!

製造課のPeterです! 僕ら職人の技術が何よりby TOMOYASU S.S.に求められる価値だと思っているので、ひとつひとつ丁寧にものづくりをしています。デザインから製造まで、製作において1から関われることが、僕が思うby TOMOYASU S.S.の魅力です。

ブランドコミュニケーション課のCuminです! 広報や会社のブランディング活動などを担当しています。by TOMOYASU S.S.の中の推しはクリア塗装の商品やテーブルの脚…ひとつに絞れません(笑)
きっかけは?ブランドリニューアルに込めた想い
──「TEKKI CRAFT」という名で友安製作所のオリジナル製品を開発し、販売を確立させていた中でリニューアルを決めたきっかけは何だったのでしょうか?
Punch:「TEKKI CRAFT」と聞いて、友安製作所から生み出されているという認識にはなりづらいんです。もっと友安製作所の名を馳せたいし、製造を担当する立場として友安製作所の看板を背負ったものづくりができる方が、職人として誇りに思える。なので、ブランド名に友安製作所の名前を入れたいと思ったんです。
Peter:TEKKI CRAFTという名前ですが、鉄器以外の製品づくりにも注力するようになったこともひとつのきっかけですね。木材や真鍮など幅広い素材で製品をつくられている会社だから、素材に縛られないブランド名にしたいなって。
Vivi:会社の方針にも掲げている“ADD COLORS TO EVERYONE’S LIFE.”という言葉を見つめ直したことも大きなきっかけでした。“世界中の人々の人生に彩りを。”というビジョンは、つまり“友安製作所でつくる商品を世界中の人々に届ける”ってことだよねって。だったら商品を通して、友安製作所という名前も広めて行きたいと感じました。
Cumin:前々からみんな、それぞれの立場でブランドをリニューアルさせたいという想いを持っていました。それなら、新商品を本格的にたくさん開発していくこのタイミングで、ブランド名から見直そうということに。そうと決まればすぐ、代表取締役であるBossに断りなく、勝手にリニューアルについて打ち合わせが始まって(笑)。半日で新しいブランド名からコンセプトまでまとめられたので、翌朝Bossにプレゼンしました。

──背景はそれぞれ違っていても、薄々みんなが感じていた気持ちは同じだったんですね。名前を「by TOMOYASU S.S.」にしたのはなぜですか?
Peter:新しいブランド名の絶対条件は友安製作所という名前を入れることでした。そこを軸に考えていきましたね。
Cumin:お客様や取引先の方は、よく私たちのことを「友安さん」と呼んでくださるんですよ。でも創業時からものづくりの部分を大切にしている私たちとしては、“製作所”という部分こそ大事にしたいと思っていて。
Vivi:とはいえ、製作所をそのまま入れると長いし堅いから(笑)。一般的に製作所は「SS」や「S/S」と略されることが多いので、そこからヒントを得て”S.S.”という表記しました。
Cumin:“by”は「この商品は友安製作所によってつくられたもの」という意味を、さりげなく伝えられると思って出てきたアイデアです。
Punch:それぞれの製品にブランド名のロゴが入るしね。ブランド名を主張するように入れるより、“by TOMOYASU〜”とサインみたいに添えられる方がいいじゃんって。結果、「by TOMOYASU S.S.」に決まりました。

──とっても素敵なブランド名だと思います! 翌朝、早速Bossにプレゼンをしたとのことでしたが、Bossの反応はどうでしたか?
Punch:珍しく資料も作っていったよね。Bossには何の前触れもなく、早朝に4人から「話があります」って言いに行ったんですよ。だから「何の話が始まるんや」ってめちゃくちゃ構えられた(笑)
Cumin:実は、私たちも賛成してもらえるか一か八かだなと思っていたんです。TEKKI CRAFTの名前にもしっかり想いがあったから。「名前を変えるのはどうかな」と反対されるかもって。
Vivi:でもBossは「みんなが考え抜いて決めたことなら賛成だし、コンセプトにも共感できる」って言ってくださいましたね。想いが届いてよかった!

継承していく価値、新たな価値──改めて向き合う友安製作所らしさ
──では、新たなブランドコンセプトを決めていくにあたって、「これまで通り継承していきたいと考えていた部分」と「新しく変えていきたい部分」はそれぞれどのように話し合いましたか?
Punch:鉄器という名前がブランド名に入ってある通り、TEKKI CRAFTの時代は鉄の素材に対するこだわりに一番重きを置いていたんですね。それはby TOMOYASU S.S.になってからも変わらず大事にしていきたいと。これからは、加えて木材や真鍮など新たな素材を積極的に取り入れるなど、新しい加工方法にも挑戦していきます。
Peter:あとは本物の素材を扱える技術があるからこそ、素材の良さを引き出した手仕事を心がけていますね。例えば普段使いのテーブルなら、鉄の天板は重すぎるので木材を使うとか。素材の特性を理解した組み合わせを考えていくのが、職人の腕の見せどころだと思っています。
Vivi:ひとつひとつ手作業で仕上げている製品は、一点ものの個性や温かみが感じられるんです。大量生産では出せない風合いが魅力的で、職人さんの技術力には、近くで見ていて日々感動します。
Cumin:友安製作所の強みのひとつが鉄工と木工を組み合わせた職人の技術力。そこに使い心地の良さや、あそび心のある唯一無二の存在感を掛け合わせた価値を届けることが、私たちの使命だと思いました。
Vivi:そこがより友安製作所イズムを詰め込んだ、新しく変えていきたい部分ですよね。こうした想いから、職人の手仕事による機能美を追求と、型にはまらない自由な発想とあそび心のある製品づくりがコンセプトになりました。実際、リニューアル後は商品展開の幅が広がっています。

──by TOMOYASU S.S.としてはまだまだ始まったばかりだと思うのでこれからが楽しみです。手作業でインテリアアイテムをつくられているからこそ、出てくる想いを今回はたくさん語ってもらいましたが、お客様に直接想いを伝える機会はありますか?
Cumin:主にオープンファクトリー(工場見学)の取り組みを通してですかね。友安製作所はありがたいことに来客の機会が多いんです。by TOMOYASU S.S.に限らず本当に幅広い製品を展開しているので、小学生以上の子どもたちや一般の方には定期的に工場見学&ものづくり体験を実施して、手仕事を見てもらう機会を設けているんです。企業の方に訪問いただいたときは、随時工場やオフィスを案内しますしね。
Punch:ただ、これまで僕は工場見学などのイベントに来られたお客様に「とにかく楽しんでもらいたい」と想うあまり、自分たちのこだわりを説明することをおろそかにしていました。でもそれは、想いを伝えるチャンスを逃していると気づいて。なので最近は、実際に溶接などを体験いただきながら、隠れた技術や自分たちの考え方などを話すようにしています。お客様には、よりものづくりの好奇心を持ってもらい、その難しさや奥深さまで楽しんでもらうっていう。
Peter:一方的な説明から入るのではなく、初めにものづくりに触れてお客様自身に何かを感じ取ってもらうことで、言葉以上にものづくりの奥深さが伝わる。そこから付加価値として想いを伝える方が、お客様の理解も深まる、と。
Cumin:ほかにも、Bossの講演活動や、地域ブランディングなどまちづくりに関する取り組みを行う事業を通じて、私たちのものづくりを社外の方に知っていただく機会があります。講演後に仕事の依頼や相談をいただくことも多く、本当にありがたいです。
Vivi:友安製作所では会社としてできることをすべて内製化していることもあり、クリエイターなど直接的には製作に関わらない社員も多く在籍しているんです。なので私は、社内向けに商品の特徴や想いを伝えることが多いですね。企画担当が主体となって活動する展示会では、内容によって外部の方にお話する機会もあります。ただ、展示会ではどうしても言葉だけになってしまうので、職人の技術の凄さを肌で感じてもらうことはできず…。やっぱり会社に来てもらうことが一番良いので、足を運んでもらう機会を増やせたらと考えています。


「アイアンスタンドサインボード tate」
「アイアンフレームローテーブルの脚 orizuru」
──手仕事をオープンにし、お客様と距離を縮め、発信を続ける。その姿勢そのものが友安製作所ブランドの価値ですね。私もライターとして、みんなの想いをしっかり届けたいと思います。
全員:ぜひお願いします!!!
商品企画とデザイン、製造、ブランディングとあらゆる視点を持つプロがひとつになって紡いでいくブランド・by TOMOYASU S.S.。リニューアルは、ブランドの価値に新たな息吹を吹き込んでくれます。ブランド名誕生の背景とものづくりの裏側を知ることで、アイテムを手に取ったときの景色が少し変わって見えるのではないでしょうか。
職人たちの想いがどんな形で広がっていくのか──その続きは、後編でお届けします。
後編:価値ある製品を届けるためにかけられている手間暇とブランドの未来



















企画課のViviです! 「こんなのがあったらいいな」をカタチにするべく、by TOMOYASU S.S.の新商品開発を、製造メンバーと協力して試作・改良を繰り返しています。私の推しはby TOMOYASU S.S.の魅力がギュッと詰まったアイアンハンガーバーten・kiです!