夏休みの工作応援|木工職人から学ぶDIYの基本4ステップ〜踏み台づくりに挑戦しよう〜

もうすぐ、待ちに待った夏休み。
小学生や中学生がいる家庭では、親子で夏休みの工作や自由研究を楽しむ季節ですね。ペットボトルや牛乳パックなどを使った工作も素敵ですが、今年はちょっぴりステップアップして、本格的な「木工DIY」に挑戦してみませんか?
「工具を使うのは難しそう……」と不安に思われる方でも大丈夫。プロならではのちょっとしたコツを押さえて、安全に気をつけながら進めれば、初めてでも楽しくつくることができますよ。せっかくなら、夏休みが終わったあとも、おうちで長く愛用できるアイテムをつくってみましょう。

この記事では、友安製作所の木工職人・Big(ビッグ)に、初心者さんにおすすめの木材の選び方と、木工DIYの基本となる4つの工程をきれいに仕上げるコツを教えてもらいました。さらに今回は実践編として、DIY超初心者のライター・Poh(ポー)が「切る・打つ・磨く・塗る」の4ステップに挑戦し、Bigとともにシンプルな「踏み台づくり」を行いました。夏休みの工作のヒントにもぴったりな内容なので、ぜひ最後までチェックしてみてくださいね。

木工でよくある4つの工程って?

木工DIYといっても、「そもそも木材をどのようにしたらいいのか分からない」という初心者さんもいらっしゃるかもしれません。まずは、基本となる4つの工程をご紹介します。

基本の工程はこれらの4つ

  • ノコギリで切る

木材を必要なサイズにカットするための工程です。ノコギリは、切れ味のいいものから、おうちでも保管しやすい折りたたみ式など、用途によってさまざまな種類があります。

  • ビスを打つ

ビス(小さなねじ)を使って、木材と木材をつなぎたいときに行います。金槌で打ち込む「釘」とは違い、らせん状のねじ山があるため、ドライバーや電動工具を使って回転させながらねじ込みます。

  • サンドペーパーで磨く

木材の表面をなめらかにする工程です。木材のトゲを減らしてケガを防止したり、塗料のノリを良くしたりと、仕上がりが美しくなるメリットがたくさんあります。

  • 塗料を塗る 

木材の寿命を延ばし、カラーを楽しみたいときに行う工程です。屋内用や屋外用など、目的によって使用する塗料が変わります。

この基本を押さえておけば、工作の幅がぐっと広がります。すべてホームセンターなどで購入でき、ビスやサンドペーパーなどの道具は一部友安製作所でも取り扱っています。
また友安製作所では、水性、油性、下塗り用と種類豊富に塗料をそろえているので、ぜひチェックしてみてくださいね!

はじめる前にチェック!工作向き「木材」と「ノコギリ」の選び方

木工DIYをはじめる前に知っておきたいのが、「木材」と「ノコギリ」の選び方です。つくりたいものや目的に合わせて、適した材料と道具を選ぶことが成功への第一歩です。

丈夫な「木材」を選ぶポイント

反りや節が少ないものがおすすめ

ホームセンターで販売されている木材には、反ってしまっているものが紛れていることがあります。DIYで使うときにズレが生じやすくなるため、なるべくまっすぐなものを選びましょう。また、節(丸く茶色い模様)が少ないものを選ぶほうが強度は高く、丈夫に仕上がります。

つくりたいものに合わせて「硬さ」を検討!

木材は種類によって硬さが異なります。柵などあまり重さがかからないものは、やわらかい木材が加工しやすくておすすめ。逆に、本棚や踏み台など重さがかかるものには、硬めの木材を選ぶと強度が上がります。撮影ではパイン集成材を使いました!

硬さ木の種類工作の例
やわらかい・スギ
・桐
柵、装飾品など
中くらい・ヒノキ
・ホワイトウッド
・アカマツ
置物、ラックなど
硬い・ナラ(オーク)
・タモ
・ラバーウッド(ゴムの木)
・ラワン
本棚、踏み台、ワゴンなど
※ホームセンターで購入できる木の例を挙げています

初心者さんにおすすめはヒノキ or ホワイトウッド!

木工職人・Big

木材の中には、プロでもノコギリで切るのが難しいほど硬いものもあります。ヒノキやホワイトウッドなら、強度や加工のしやすさがバランスよく、初心者さんでも使いやすいですよ!

きれいに切れる「ノコギリ」を選ぶポイント

ギザギザの粗さで決める

ノコギリの刃(鋸歯)には、粗いものと細かいものがあります。粗くて深い刃は、「ざっくりとスピーディーに切りたい」ときに最適で、少し厚めや大きめの木に向いています。一方で細かい刃は、きれいに切りたいときや、小さめの木材を切りたいときにおすすめです。撮影では細かい鋸歯のノコギリを使いました!

木工職人・Big

今回の撮影では大きいサイズを使いましたが、ホームセンターには持ち運びしやすい折りたたみ式のノコギリもあるので、初めての方にも扱いやすいですよ!

★ノコギリのお手入れ・保管方法★

ノコギリは切った後に出てくる「おが屑」が付きやすいため、使用した後は汚れを落としましょう。また水分や皮脂を拭き取り、防錆油を薄く塗るように心がけると、錆を防げます。

保管場所は湿度の低い場所を選び、フックに吊るしたり、平らな場所に横置きしておくと刃に負荷がかかりにくいです。刃がむき出しのままだと壊れる恐れや怪我をする恐れがあるため、工具箱に収納したり、防錆紙(新聞紙でも代用可)にしっかり包んだりしておくと安全です。

【Step1】切る:ノコギリの基本

ではいよいよ、作業の工程に入ります。まずは木材を希望のサイズに切る工程です。初心者さんが失敗しやすいノコギリの使い方は、力任せに切ろうとしてしまうこと。ノコギリの特性を理解すると、意外と簡単できれいな仕上がりになります。

①切りたい場所には事前に印を付ける

ものさしとえんぴつ(もしくはシャープペンシル)を使い、事前に切りたいところに印を付けておきます。まっすぐに切りたいときや、同じサイズのパーツを複数つくるときに、この印がとても重要になります。

②引くときに力を入れ、押し込むときに力を抜く

ノコギリは、手前に「引くとき」に木が切れる構造になっています。前に押し込むときはスッと力を抜き、手前に引くときにだけ力を入れるのがポイント。小刻みに動かすと疲れやすいため、刃の長さ全体をフルに使って大きく前後に動かしてください。

③なるべく刃を垂直にし、まっすぐ切る

木を切るとき、つい角から斜めにノコギリを入れたくなりますよね。でも角度が斜めになると、刃が進行方向にまっすぐ進まず、正確なサイズのパーツがつくれません。

また、斜めに切ろうとすると、刃が木材の溝に強く挟まれて動かなくなったり、無理な力がかかってノコギリの刃が折れてしまったりする原因にもなります。ノコギリは、木材に対してなるべく「垂直」に刃を当てるのがポイント。ズレがなく、きれいに切り落とすことができます。

木工職人・Big

切り終わる直前は木が割れてささくれができやすいので、反対の手で木材を優しく支え、ゆっくり切り落とすことを意識しましょう。また、小柄な方は高さのあるテーブルの上で切るのが難しい場合は、小さな台の上でやると切りやすくなります。

📸撮影のうらがわ
左がBigカット、右がPohカット。仕上がりの差は歴然

取材中、ライター・Pohも木材のカットに挑戦しましたが、Bigの言うとおり押し込むときに力を抜くと、進みがスムーズに! ずっと力を入れなくてはいけないイメージがあったので、驚きました。とはいえ、はじめは斜めに切り込みを入れていたので進みも悪く、きれいにカットできませんでした(笑)。

【Step2】打つ:ビス打ちの基本

続いて、パーツ同士をくっつける工程です。ビスの種類や、電動ドライバーを使う際のコツをお伝えします。

①ビスは半ネジを選ぶ

ビス(ねじ)にはさまざまな種類がありますが、木のパーツ同士をつなぐ木工DIYでは「半ネジ」を選びましょう。
ちなみに「全ネジ」と呼ばれるものは、木材と金物をつなぐときに使うものです。用途に合わせて使い分けるのが、DIYを失敗しないための大切なポイントです。

★なぜ半ネジじゃないとダメなの?★

頭のすぐ下から端まで、全体にねじ山が付いている「全ネジ」で木材のパーツ同士をつなぐと、間に隙間が空いてしまいます。一方、ねじ山が先端から3分の2程度しかない「半ネジ」を使えば、木材と木材がグッと引き寄せられて、2枚の板がぴったりときれいにくっつきます。

②ぶつからないよう、ビスを打つ位置を確認する

適当な位置にビスを打ってしまうと、後から別のビスとぶつかって打ち込めなくなることがあります。打つ位置は事前にしっかりと確認しておきましょう。

③いきなり打たない!先に下穴を開ける

木材に直接ビスを打ち込むと、木が割れてしまいます。必ず、打ち込むビスよりも細いドリルで「下穴」を開けてからビスを打ち込みましょう。先端を押し付けるように深く掘り、最後は少し勢いづけて引くようにすると、きれいにドリルを外せます。

④木工用ボンドを塗ってさらに強度アップ

つなぐほうの木材に木工用ボンドを少しだけ塗ってあげると、さらに強度が高まります。

⑤ビスは横から見えなくなるまで深く

ビスを打つときは、木の横のラインよりもビスの頭が埋まって見えるくらい、少し深めに打ち込みます。

一度に奥まで打ち込もうとすると、電動ドライバーの先がビスの溝から外れてしまい、ビスの頭を潰してしまう原因になります。電動ドライバーのトリガー(スイッチ)を、小刻みに数回に分けて「押しては離す」を繰り返してみてください。電動ドライバーの先がしっかりと溝に噛み合った状態をキープでき、きれいに仕上がります。

子どもと一緒に作業するときのご注意
【手袋は絶対に外して作業しましょう】
電動ドライバーなどの「回転する工具」を使うとき、軍手や手袋をするのは大変危険です。手袋の繊維が回転部分に巻き込まれ、大怪我につながる恐れがあります。ビス打ちのときは、必ず「素手」で行ってください。

また、インパクトドライバーはパワーが強いため、子どもが使うと手首を傷つける危険があります。親子で作業するときは、手回しのドライバーや、パワーの優しい小型の電動ドライバーから始めるのが安心です。

木工職人・Big

細かい作業は、ライト付きの電動ドライバーを使うと見えやすくて便利です。また、ビスを打つ前は回転が時計回りにきちんとなっているか確認してから打つようにしましょう。ビス打ち後にもしも跡が気になるようであれば、ヘラを使ってパテ埋めをしてあげても良さそうです。

📸撮影のうらがわ
はじめはトリガーを強く押していましたが、そうするとうまくいきませんでした!

Pohもビス打ちに挑戦。はじめはトリガーを押すと衝撃で狙った箇所からズレてしまい、「難しい……!」と感じましたが、弱い力でトリガーを押すように意識すると下穴もビス打ちもできるようになりました初心者には向かないイメージのインパクトドライバーでやってみましたが、超初心者のPohも途中で感覚を掴むことができたので、そこは問題なさそうです!

【Step3】磨く:サンディングの基本

ビス打ちまで終わったら、サンドペーパーを使って木材のトゲを無くし、手触りを良くするサンディングを行います。こうすることで、この後の塗料のノリも格段に良くなります。

①サンドペーパーの番号を選ぶ

サンドペーパーは数字が小さいほど粗く、大きいほど細かくなります。迷ったときは、削りすぎずなめらかに仕上がる「中目の#240」を選ぶのがおすすめです。
<目安>
粗目:#40〜#100
中目:#120〜#240
細目:#280〜#800
極細目:#1000〜

木工職人・Big

何番を選んだら良いのかよく分からないという方は、#240を選ぶと良いですよ! 中目に分類されている粗さなので、削りすぎず削らなすぎず、ちょうど良いなめらかさになります。

★広範囲を綺麗にしたいときは?★

4人掛けなどの大きな天板や、表面の凹凸が気になるときは「友安オリジナルハイピッチファイル」がおすすめです。木材を接ぎ合わせた際のわずかなズレや、古い塗装を剥がす際にも活躍します。
※#100(粗目)のみの展開のため、もともと表面が滑らかに加工されている場合は、削りすぎないようご注意ください

②サンドペーパーは余った木材に巻いて

サンドペーパーはそのまま使うよりも、余った木材に巻き付けて使うのがおすすめ。持ち手が安定して力が均一に伝わるようになり、手の負担も軽減できます。

📸撮影のうらがわ
写真はまだ角がしっかりとある状態です

サンドペーパーを板に巻き付けるだけで作業しやすくなりました♪ 反対の手で木材を持ち、角度を付けて磨いてみると、あっという間に手で触って痛くならないくらいにはできたんじゃないかなと思います。

【Step4】塗る:塗料の基本

最後は、木の寿命や美しさを長持ちさせるために欠かせない塗料で仕上げをします。今回は、国産の自然塗料「U-OIL」を使用しました。木目を活かしたぬくもりのある質感が魅力のオイル塗料です。

ここでは、オイル塗料を塗る際の基本をお伝えします。撮影では、「レモンイエロー」と「パステルグリーン」で塗ってみました。

①ウエスで全体をまんべんなく

ゴム手袋をして、オイルを吸収してくれる布「ウエス」を使って塗っていきます。
ハケを使っても問題ありませんが、ウエスだとすばやく均等に塗り広げられるのでおすすめです。一気に塗るのではなく、少量ずつ塗り広げていくとムラができにくくなります。

塗料に合わせた道具選びを!
ウエスを使って塗るのは、今回のようなオイル塗料(自然塗料)のときだけ!ペンキや水性塗料などを塗るときは、ウエスではなく「ハケ」を使ってください。

②狭い部分はハケで整える

内側の角など、狭くてウエスでは塗りづらい場所のみハケを使います。こちらも小さなハケで少量ずつ塗布してあげましょう。

③乾いたら清潔なウエスで拭き取る

塗料が乾いたら、清潔なウエスでサッと拭き取ります。こうすることでムラがなく、美しい仕上がりになります。

木工職人・Big

ウエスで塗るのと、ハケだけで塗るのとでは、仕上がりの雰囲気も少しちがうんです。僕としては、木目がしっかりと浮かび上がる、ウエスの美しい仕上がりが好きですね◎

📸撮影のうらがわ
下がレモンイエロー、上の4枚の木がパステルグリーンです

一度塗りをしてみたらレモンイエローはきれいに色が出てくれたのですが、パステルグリーンは木の色とは違う方向性だからか、色味が薄くなってしまいました。そのため次の日まで乾燥させてから、脚のみ二度塗りを行いました。オイルなので薄付きではありますが、二度塗りをすると色がのりやすくなりました!

4ステップに挑戦し、踏み台が完成

「切る・打つ・磨く・塗る」の基本4ステップを通して、DIY初心者のPohも踏み台づくりに挑戦しました。
教えてもらったちょっとしたコツを意識するだけで、荷物をのせても、人が乗ってもびくともしない、丈夫で本格的な仕上がりに!
台の板は3枚をつなぎ合わせ、脚の上部には強度を高めるために「支え」となる木材をプラスしています。

まとめ:基本の4ステップで木工DIYの扉を開こう

いかがでしたか? 「難しそう」と感じていた木工DIYも、プロのちょっとしたコツを知るだけで、ぐっと身近に感じられたのではないでしょうか。
親子でひとつのモノをつくり上げる時間は、子どもたちにとって特別な夏の思い出になります。自分たちの手で完成させた工作は、その後も暮らしのなかで長く活躍する大切な宝物になるでしょう。

「まずは木材を磨くことから」といった気楽な気持ちで、ぜひ今年の夏休みは、親子で素敵なDIYの時間を楽しんでみてくださいね。