欧米やアジア各地で開催される展示会に足を運んでいる友安製作所。
今回訪れたのは、『imm cologne ケルン国際家具インテリア見本市』です。
名前の通り、家具の世界的な見本市のリアルな様子をバイヤー目線のトレンドも含めてレポートします!
目次
『imm cologne ケルン国際家具インテリア見本市』とは?
『imm cologne – The interior business event(ケルン国際家具インテリア見本市。以下、imm)』は、毎年1月にドイツのケルンで開催される世界最大級を誇るインテリアの見本市です。
老舗と言われるようなビックメーカーから、新進気鋭の若手デザイナーたちによる革新的なデザインなど、その年のトレンドが見える見本市です。
2024年は1月14日から18日まで開催され、42ヶ国750社の出展者、来場者は132ヶ国から約42,000人にも及びました。
このうち、開催国であるドイツ以外の国からの来場者が50%を占めていたそうです。
バイヤーAlice「immも他の展示会と同じように、コロナ前ほどの盛り上がりはなかったように思えました。有名ブランドも数多く出展されていますが、今回、以前は出展していたイタリアの某老舗ブランドの姿はありませんでしたね」。
世界的な家具ブランドも出展
世界的に有名なドイツの家具ブランド「KOINOR」も、おそらくimmで最も広い面積で出展していました。
高いデザイン性と品質でファンの多いレザーソファーもたくさん展示されており、座り心地は「さすが!」の一言(もちろんお値段も一流です)。
革の触り心地も柔らかで、革独特の嫌なニオイもしなかったそうです。
また、機能性の高さも、やっぱり世界レベル。
ボタン一つでフットレストが上がったり、全体的にリラックスできる形に動くのは、工業大国ドイツならではです。
KOINORは世界35ヶ国に出荷されており、日本でも取り扱っているお店があるようなので、こだわりのソファをお探しの方は、ぜひチェックしてみてください。
トレンドはフラットなデザインとパステル系カラー!?
▼バイヤーAlice「今回のimmで感じたのは、『フラットなデザイン』そして『パステル系のカラー』が増えているなということ。ここで言うフラットというのは、装飾がなくシンプルな面で表現されながら、個性あるデザインのこと。チェアやテーブル、それに壁掛け棚にもそういったデザインを多く見ることができました」
同じく、フラットなデザインの家具はパステル系の優しいカラーが多かったようです。
テキスタイルの世界的な見本市・ハイムテキスタイル2024で提案されていたトレンドは、もう少しくすんだ低彩度のカラーでしたが、どちらも優しいイメージのカラーがトレンドになっているようです。
素材のトレンドはモコモコ系
▼バイヤーAlice「素材としては、モコモコとした触感の素材が椅子やソファなどに多く使われていました」
特に、モコモコふわふわとした素材感が魅力の「ブークレ生地」の椅子やソファも目立ちました。
日本でも人気が高く、モダンスタイルや韓国風インテリアに取り入れる人が多くなっていますが、カラー次第でどんなインテリアにも合わせやすいことも特徴です。
触感の良い素材になるので、ソファなど体に触れる面積の大きな家具に取り入れれば、満足度も高くなりそうですね。
「ブークレ生地」とは?
ブークレ(bouclé)とは、フランス語で「輪」を表す言葉。生地表面に糸の輪っかが出るようにつくられた生地で、衣服にもよく使われています。英語では、「ループヤーン」と呼ぶそうです。
ブークレ生地以外にも、モコモコとした生地を使ったチェアやソファをたくさん見かけました。
こういったモコモコ系は、他の展示会でも多くみられ、トレンドになっているようです。
日本でも人気の「浮かせる収納」がよりデザイン性高く
日本でも人気の高い「浮かせる収納」が、immでも展示されていました。
日本では、お風呂場やキッチンなどでよく使われ、便利アイテムのイメージが強いですが、immでは、さすがにデザイン性の高さが印象的です。
上の写真の商品は、壁に取り付けたバーに家具をはめ込んで浮かせるタイプのようです。
掃除もしやすく、余った空間もスタイリッシュに活かすことができますよね。
こちらの製品は、棚柱が木製になっていて、好きなところにはめ込んで棚を取り付ける仕組みになっています。
デザイン性の高さもさることながら、この状態で棚板が固定できる仕組みにも驚きです。
それに日本の浮かせる収納というと、「白色一択」のイメージなので、こういった木製のナチュラルな製品は目新しいですよね。
パステルカラーのアウトドア家具
バイヤーAliceが注目したものの一つが、パステルカラーのアウトドア家具。
▼バイヤーAlice「こちらのブランドでは、アウトドア家具には少ない、柔らかでおしゃれなカラーがそろっていて、日本の女性にも人気が出そうなラインナップでした」。
上の写真は、同じアウトドアブランドの製品で、前と横座りのどちら向きにも使えて、パソコン作業も可能になるチェア。
働く場所を問わないノマドワークが可能になった現代には、とてもマッチしたデザインです。
その奥には、グリーン系のテーブルとチェアがあり、どれもシンプルなデザインでカラーが特徴的でした。
機能性も抜群の木製洗面ボウル
洗面ボウルも数多く展示してありましたが、中でも印象的だったのが木製の洗面ボウル。
写真のように実際に水を流して漏れないことを実証していました。
「木製=水に向かない」というイメージだったので、思わず足を止めて見入る人も多かったようです。
こちらも右側は木製の洗面ボウル。
こんなにシンプルなのに、耐水性があるなんて不思議ですよね。
このようにimmには、デザイン性はもちろん機能性も高いものが多く、これからの商品企画に役立つヒントをたくさん得ることができました。
▼バイヤーAlice「全体的にキッチンや洗面所など水まわりの展示は少なかったように思います。以前足を運んだときは、ワンタッチでテーブルが広がるような大きなダイニングテーブルなど、すごく機能的な製品も展示されていましたが、そういったものは見かけませんでしたね」
ディスプレイのトレンドもチェック
①ウェーブスタイルカーテン
▼バイヤーAlice
「こういった展示会では、ディスプレイもチェックするようにしています。ディスプレイにもトレンドがあって、いろんなアイデアを発見することができます。最近海外の展示会でよく見かけるのが、ここ2~3年で流行してきたカーテンのスタイル『ウェーブスタイルカーテン』。ハイムテキスタイル2024でも多くみられたディスプレイで、ヨーロッパではこのスタイルが主流になってきているようですね」。
ウェーブスタイルカーテンとは?
ヒダを取らないスタイルのカーテンで、吊元から均一なウェーブを作ったもの。
カーテン生地がそのままストレートに降りているので、生地のデザインや柔らかさも表現できるスタイルです。
②壁パネル
さらにディスプレイで多かったのが、友安製作所で人気の木製パネル「sotto」のイメージに近い壁パネル。
写真のような寝室やリビングなどのディスプレイにも使われていました。
ドイツの国際的なフロアカバリングの見本市「DOMOTEX」でも多くみられたディスプレイです。
Pure Talents Contest 2024 受賞作品
immでは、将来有望なデザイナーの発掘を目的とし、今回で20回目となる『Pure Talents Contest 2024』も開催されました。
会場には、1,000件を超える応募から選ばれた4つの優勝作品も展示されていました。
どの作品も最小限の材料を使用するという「持続可能」なコンセプトのもとにつくられているそうです。
ここでも他の展示会同様、やはり「持続可能」というキーワードが重要になっているようです。
▼バイヤーAlice「一番目立っていたのが、半透明の外観をしたコンパクトなサウナハウス。移動式のサウナということで、都市の限られたスペースでも使用できるというコンセプトでつくられていました」。
プレスリリースによると、近年注目を浴びているタイニーハウスのような発想で、駐車スペースなどのコンパクトな場所でも使用できるサウナだそうです。
こちらは、パーム油の生産中に出るバイオマスを瓦屋根に使用した作品。
産業廃棄物を有効活用したこの作品は、瓦屋根だけでなく様々な作品につながりそうです。
次は、オーロラのようなデザインの「プリーツパーテーションスクリーン」。
この作品は、接着剤などを使わず、全てがテキスタイルでつくられているそうです。
そう聞くと安定性にかけそうですが、様々な工夫で安定性が保たれ、最小限の素材でパーテーションとして自立しています。
こういった作品の他にも、メッシュ素材でつくられた「折り畳み式の3人掛けソファ」も受賞作品として展示されていました。使用する素材も少なく、短時間で組み立てることができるということで、あらゆる住空間に適応できるとしています。
immレポートギャラリー
最後に、たくさん撮影したimmの写真を一部ご紹介します。
チェア系のブースも多く、ラグジュアリー感の高いものから、デザインオフィスに使用できそうなもの、テラスやバルコニーで使用できるものなど、ジャンルも様々。
こちらのベンチは、Y字型の木材が波打ちように動くユニークな家具。
こちらにもユニークな椅子が。この椅子は、「Fitness」と「sit」をかけて、バランスボールのようにバウンドさせて座りながら運動するもの。
キッズルームのアイデアも展示されていました。