【気になる八尾のあの工場 vol.01】 藤田金属さん

知ってほしいねん

はじめまして!今年、友安製作所に入社した広報のクミンです。
友安製作所は、大阪府の八尾市というところに本社・工場を置いています。 私は入社するまで、八尾のことをほとんど知らなかったので、正直、何もないところなのでは…とさえ思っていました。 でも実際に八尾で働いてみて、八尾を知れば知るほど、八尾の魅力に引き込まれたのです。 特に感動しているのが、ものづくり企業、工場の多さ、そしてその力強さ、おもしろさ。
そして私自身、もっと八尾を知りたい、そして知らない人にも知って欲しい!そんな思いでこの度、八尾の企業や工場をお訪ねして、紹介させていただく記事を連載することにしました。

初回の訪問を快く受け入れてくださったのは、フライパンを始めとしたキッチン用品やアウトドア用品などを製造されている、藤田金属さん。
社長の藤田盛一郎さんに話を伺うことができました。

藤田金属代表取締役社長 藤田盛一郎さん


藤田金属株式会社
フライパンを中心に、アルミニウム・スチール製家庭用品・家庭金物などを製造販売されています。 『フライパン物語』や『フライパン ジュウ』など、他にはないフライパンが大人気で、今年、世界3大デザイン賞の一つ「iFデザイン賞」、「レッド・ドット・デザイン賞」を受賞されています。
藤田金属株式会社

「町工場」らしくない町工場

会社に伺ってまず目に飛び込んできたのは、かっこ良すぎる外観。私が抱いてた町工場のイメージに反し、めちゃくちゃシュッとしています。外壁には、かわいらしいロゴマークも。カフェと間違えて入ろうとされる方もいるんだとか。その気持ちがよく分かります。

そして外観だけでなく、建物の中もすごくおしゃれなんです。

こちらは工場の内観。2階のショップから工場が見下ろせるようになっています。普通なら「安全第一」と書いてあるはずの壁面にロゴマークを施し、全体的に黒で統一されたモダンな印象の空間です。
これは、ものづくりの現場である工場を、一般の方に公開し、もっと興味を持ってもらいたいという思いで改修されたそうで、さらなる構想もあるようです。

働いている方の服装も、オリジナルの黒いTシャツにキャップと、とてもカジュアル。町工場らしからぬ、あまりのクールさに、本当にここで金属を加工してフライパンを作っているのだろうかと、疑いたくなりました。
ところが実際に作っているところを拝見すると、職人さんが一点一点、丁寧に作業されていて、これまた驚きの連続。ラフな見た目とは裏腹に、緻密な手仕事や熟練の技が光り、生のものづくりの熱に接するとができました。

工場2階にはショップスペース。大きなシステムキッチンもあり、フライパンを使ったワークショップなどを予定されているそうです。

実はこれらの空間作りは、友安製作所工務店がお手伝いさせていただきました。壁紙や床材などには、友安製作所の商品がふんだんに採用されていて、私も少し嬉しくなります。

お客様それぞれの「物語」に応える980通りのフライパン

そんなかっこいい工場で、現在メインで作られているのが、フライパン。中でも人気なのが、フライパンの素材から表面加工、持ち手、カラーなどなど、お客さま自身が自由にカスタマイズできる『フライパン物語』です。その組み合わせは、なんと980通りに登るとのこと。自社で全て製造されている藤田金属さんだからこそできる驚きの商品ですね。

この『フライパン物語』は、お客様の声から始まったのだそう。
長年フライパンを製造する中で、お客様から「木の持ち手にしてほしい」「鉄じゃなくアルミで作ってほしい」などの要望がしょっちゅうあり、その度に引き受けてこられました。そんなたくさんの要望をパターン化して、商品にしたのが『フライパン物語』。

「このアイデア、2015年の5月にトイレの中で思いつきました」と、藤田社長。

『フライパン物語』を発売するや否や、売り上げは一気に伸びたそうです。初めは200通りほどだったバリエーションも、お客様の要望を聞くたびに増え、今では1000通り近く。たしかに、これだけバリエーションがあると、自分に合ったフライパンが手に入りそうです!
お話を聞いていて、とにかくお客様の声に寄り添ってものづくりをされているのだということがよく分かりました。この勢いだと、まだまだバリエーションが増えそうですよね。

『フライパン物語』ブランドページ

ですがそもそも、なぜお客様の要望を、手間やコストがかかるにも関わらず、いつも引き受けてこられたのでしょうか。

藤田社長いわく、「断ることは簡単。でも断ってしまったら、もう二度と話がこなくなるかもしれない。無理かもしれないけれど、一回やってみることが大切だと思うんです。いつも『とりあえずやってみます』と二つ返事です。」とのこと。

そしてとりあえずやってみた中から、新しい発見につながることもあるそうです。藤田社長の敷居を作らないオープンなお人柄が、会社を常に前進させているのだろうと感じました。

誰でも簡単に扱える「鉄」のフライパン

フライパンの中でも売り上げの大半を閉めるのが、鉄製フライパンだそうです。
鉄は火の通りがとっても良く、余分な油や水分が食材に戻らないので、肉はジューシーに、野菜はシャキシャキにと、とにかくおいしく食材を調理できるのが魅力!

その反面、鉄のフライパンというと、扱いにくいイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。私も、焦げ付きやすくて手入れが大変そう、鉄のフライパンは、プロや料理にこだわりのある方が使うものと思っていました。
でも実際のところ、手入れをしなければいけないのは初めのうちだけ。油をしっかりなじませれば、焦げ付きにくくなり、手入れもめんどうでなくなるそうです。

それでも、初めに油をなじませるハードルが…という方もいらっしゃいます。
また通常の鉄製フライパンには、お客様の手元に届くまでの錆止めとして、クリアー塗装を施していますが、これは使い始める前に高温で焼いて落とす必要があります。しかし最近のコンロは、自動で温度の制御がかかり、塗装を落とすのに必要な温度まで上げられないことがあります。

そこで、藤田金属さんが取り入れているのが、ハードテンパー加工
本体を700℃で焼き入れ、油をなじませることで、初めから錆びにくく、こびりつきにくくなっています。こうすることで、鉄のフライパンでも、買ってすぐにお料理できるとのこと。

この加工は、職人さんが作業しなければならない工程がいくつもあるため、他のメーカーでやっているところは少ないそうです。でも、たくさんのお客様が鉄のフライパンを使って、おいしい料理が作れるようにと、手間隙を惜しまず、この加工をされているそうです。どこまでもお客様思いなんですね。私も使ってみたくなりました。

八尾で出会った「人」が好き

改装した事務所や工場のいたるところに、八尾の会社の商品を取り入れている藤田社長に、八尾への思いを尋ねると、「八尾へのこだわりはありません。」と、きっぱり。

「八尾という土地に思い入れはないけれど、八尾で出会ったに対する思い入れは強い。いろんな方との関わり合いが、今の藤田金属につながっています。」
とのことで、人との出会いやタイミングが何よりも大切だと話していただきました。

八尾の会社の商品が詰まった藤田金属さんの事務所棟。

「FRYING PAN JIU」とともに世界の舞台に

藤田金属さんと言えば、「フライパン ジュウ(FRYING PAN JIU)」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
デザイン事務所TENTさんと一緒に作られた鉄のフライパンで、取っ手が取り外しでき、そのままお皿になるのが特徴。取っ手を取り外して上から見ると、数字の「10」に見えるのが名前の由来だそうです。

『フライパン ジュウ』ブランドページ

「取っ手を取り外しできる鉄のフライパン」というシンプルなテーマから始まった商品開発。
お皿の部分は、TENTさんのデザインを藤田金属さんが長年培ったノウハウを用いることで、すぐに出来たそうです。ですが問題は、持ち手の部分でした。本体の重みに耐えらえて、使い勝手が良く、意匠性のあるものを実現させるため、試行錯誤を繰り返し、やっとの思いで完成。

持ち手の開発だけで1年半費やしたそうですが、
「納得のいくものができたので、妥協しなくて良かった」と、藤田社長は振り返ります。

すでに国内でも注目され、ファンも多いジュウですが、今年、世界三大デザイン賞の一つ「iFデザイン賞」と「レッド・ドット・デザイン賞」を獲得されました。本当に勢いが止まりません。

そしてジュウに続いて新しく発売されたのが、「プラントポット ハチ(PLANT POT HACHI)」と、「テーブルランプ イチ(TABLE LAMP ICHI)」。フライパンの枠を超えながら、どちらも藤田金属さんの金属加工技術が生かされた、洗練された商品です。

最後に藤田社長に、今後の展望について伺いました。

「今は、フライパンジュウといった商品単体で認知されていることが多いです。
そうではなくて、商品を見たお客様に『あ、これ藤田金属のやつやん!』と言ってもらえるような会社になりたい。
そのために、今後もいろんなことに挑戦していきます。」

おわりに

今回、初めて藤田金属さんにお邪魔してみて、ものづくりの現場って、こんなにおもしろくてかっこいいんだ!と、わくわくしてばかりでした。工場は、ただものをつくるためだけでなく、見せることにもこだわった空間を作られていたことが、とても印象的でした。こんな空間なら、働くモチベーションもさらに上がりそうです。
また藤田社長は、商品開発などについても、ほとんど会議らしい会議はせず、日常の会話の中で新しいアイデアが生まれ、話が進んでいくことばかりだそうです。

そんな環境だからこそ、人の感性をくすぐる魅力的な商品が次々に生まれるのだろうと感じました。
まさに、魅せる工場魅せる商品で、多くの人をわくわくさせる藤田金属さん。今後もどのような商品を作り、どのような取り組みをされるのか、藤田金属さんから、目が離せません。
また今後、友安製作所もコラボさせていただいて、新しい商品開発などにも取り組んでいきたいと考えているので、乞うご期待です!

藤田社長、今回はいろんなお話をお聞かせいただき、本当にありがとうございました。

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