友安製作所カフェの「おいしい」をつくっているのは、私たちだけではありません。その裏側には、心を込めた食材でメニューをともに彩ってくれているパートナーがいます。食のプロフェッショナルたちが支えてくれているからこそ、私たちはとっておきのひと皿をお届けできているのです。
そこで今回、カフェのメニューを「食材」という立場から支えてくれているつくり手を訪ねる、新連載をスタートすることにしました。
つくり手が食材に込めた想いや、カフェのひと皿の背景にあるストーリーを、みなさまにお届けしていきます。
記念すべき第1回目は、オーガニックカフェ「Factory Cafe CO-BA」のグラノーラ仕入れ先としてお世話になっている、「Ilubun(イルブン)」の店主・黒木さんにお話を伺いました。
目次
グラノーラがつなぐ、CO-BAのアサイーボウル

オーガニックカフェ「Factory Cafe CO-BA」で、今多くのお客様に選ばれているアサイーボウル。その「おいしさの鍵」を握っているのが、黒木さんがつくる自家製グラノーラです。
つなぎに小麦粉を使わず米粉を使用。オートミールやナッツなど、信頼できる素材だけを組み合わせて手づくりされています。優しい甘さと、噛みしめるほどに広がる香ばしさ、そしてザクザクとした食感──その一粒一粒に込められたこだわりを、黒木さんのストーリーも交えて紐解いていきます。
「からだによろこぶ」を、ともにつくる仲間とのはじまり

CO-BAカフェのメニューを考えるとき、私たちが一番大切にしていることは「からだがよろこぶお料理」であること。そのため、無農薬や無添加の食材をできるだけたくさん使うように心がけています。グルテンフリー・ヴィーガンのからだに優しいおやつを手づくりしている黒木さんなら、私たちの想いを受け止めてくれると感じ、グラノーラの仕入れをお願いすることになりました。黒木さんが焼き上がりを瓶に詰め、直接CO-BAに足を運んで届けてくれる自家製グラノーラには、まさにそんな「からだがよろこぶ優しいおいしさ」が詰まっていました。
「からだにも良くて、ちゃんと自分がおいしいと思えるものを届けたい。食を通じて、心が躍るような毎日を過ごしてほしいと思っています」と、はにかみながらそう話す黒木さんの言葉には、真っ直ぐな想いが宿っていました。
ダンスインストラクター、そして自家製おやつの道へ

小麦・卵・乳製品を一切使わないおやつを、一つひとつ手づくりしている黒木さん。一方で、約20年にわたりダンスのインストラクターとしても活動されています。小学生から大人まで、幅広い世代のレッスンを担当してきた黒木さんですが、仕事柄、夕方以降の勤務だったことから出産を機に働き方を一度見直し、日によっては日中に時間ができるようになりました。そんな中、アレルギーのあるお子さんの食生活を管理するようになったことをきっかけに、オーガニックやグルテンフリー、ヴィーガンの世界に関心を持つようになります。
それまでは大のスナック菓子好きで、健康を意識することはほとんどなかったという黒木さん。けれど、自身の不規則な生活を整えるためにも、健康的な食習慣を試してみると、身体だけでなく気持ちの面でも驚くほどの充実感が身に沁みるようになったといいます。「食は健康を左右するだけでなく、その先にある環境問題や社会問題、つまり人が人生を『生きる』ことにもつながっている」と、この変化に感動し、その想いを広めていきたいと考えました。
試作を重ねて形にした、「誰かのため」のからだに優しいおやつ
はじめは身近にいるママ友に伝えることから始まりましたが、言葉だけではなかなか行動に移してもらいにくいもどかしさも感じていました。そこで、おやつ好きなママ友でも手軽に楽しめるよう、グラノーラや米粉マフィンの製造・販売を決意します。
そこからは、独学での試行錯誤の日々。参考になりそうなお店を巡り、米粉を2グラム単位で調整したり、夜中にアイデアが浮かべば布団から飛び起きて焼いたりと、数えきれないほどの試作を重ねました。そうして数ヶ月後、ついに納得のいくグルテンフリーとヴィーガンのおやつのレシピが完成したのです。

初のイベント出店から始まり、「踊れるマフィン屋Maru」として間借り販売なども経験。1年半ほど経ったころ、米粉のおやつを求める人たちとの出会いがあったことや、地元・八尾に黒木さんが好きな量り売りのお店が少なかったことに背中を押され、量り売りのお店「Ilubun」をオープンさせました。今では仲間とともに、穀物やドライフルーツの量り売りだけでなく、これまでつくってきたグラノーラや米粉マフィン、また、米粉パン、クッキーも販売を始めるなど、展開するメニューの幅も広げています。
2グラム単位の調整と、素材の「足し算・引き算」
グラノーラは販売開始した当初から、お客様に「おいしい」と評価をもらっていた黒木さん。しかし、黒木さん自身が「毎日食べたくなるおいしさ」と感じるようになるまで、納得いくまで何度も改良を重ねました。これと決まれば、ストイックにこだわるその姿勢が、今の「からだにも優しく、毎日食べられるおいしいおやつ」を実現させています。
黒木さんがグラノーラの試作で特にこだわったのは「米粉のザクザクした食感」と「食べやすさ」です。
「米粉のおやつはブランドや量によって大きく食感が変わるんです。『もっちりし過ぎていて苦手』『固い』といった声もよく上がるので、米粉を使いつつ、どう軽さと甘さを出して食べやすくするかにこだわりました」。
今では、ブランドごとに異なる特徴を持つ粉をブレンドして素材からオリジナルの生地を生み出したり、身体に良い素材をプラスしたりと、足し算と引き算をうまく使いこなしています。材料の中には、八尾産のものを使用することも。ベストな食感を叶えるために一番重要な素材については、「まず自分で食べてみて、おいしいと感じたら少し高いと感じても迷わず仕入れます」と、心から信頼するところから仕入れているのだとか。そんなこだわりが講じて、八尾市で注目されているオーガニック菓子店としてファンを増やしています。

「お菓子づくりをする前は、『おいしくするには、調味料を足せばいい』と安直に考えていましたが、実際にやってみると『足し算だけが正解というわけではない。引き算も大切だ』ということが分かりました」と、「健康」や「お菓子づくり」とは無縁だった過去があるからこそ、今も熱心に学ぼうという姿勢が伺えます。
その姿勢には、アサイーボウルで使うグラノーラでのやり取りにも活かされています。黒木さんも、過去にお店でアサイーボウルをつくっていた経験があったことから、「アサイーボウルに使用するなら、あえてドライフルーツは抜いた方が、グラノーラのザクザク食感が引き立っておいしい」とスタッフに提案してくれたのです。自身の経験をもとに、カフェのメニューが一番おいしくなる形を一緒に考えるというプロフェッショナルな考えが、今のCO-BAの味を支えています。
理想をカタチにしたこのお店から、食の素晴らしさを届けたい

「必要な分だけ」という意味から名付けた「Ilubun(イルブン)」は、黒木さん自身が量り売りのお店が好きだったことから、「こんなお店でこんな商品を買いたい!」と思える理想のお店を形にしました。
「量り売りは、おやつを瓶で販売されているところが可愛くて、無駄がないのでゴミが少ないところも素敵だなと感じています」と黒木さん。理想のお店を実現させた一番の目的は、何よりからだに嬉しい食習慣の良さを広めること。 「贅沢品という印象を持たれてしまっては、私がお菓子づくりを始めた意味がない。毎日の朝ごはんやおやつに置き換えて、そのまま食べたり、ヨーグルトやミルクを組み合わせたりなど、グラノーラを日常的に食べてほしいです」と、人に寄り添う強い心と行動力で、確かな想いでお店を続けています。

イベント出店時は「踊れるマフィン屋Maru」として、お店を開店させているときは「Ilubun」として。2つの顔を持ちながら、からだに優しいおやつを通して、自分を大切にする食習慣を提案し続ける黒木さん。
「このお店は、Maruの店主が運営している量り売りのお店・イルブンです。ややこしいですかね?」とチャーミングに笑う黒木さんは、その和やかな表情の端々に、つくり手としての確かな覚悟が感じられました。持ち前の行動力とバイタリティで生み出されるおやつは、今日も誰かの一日に、心地よい彩りを届けています。
編集後記
黒木さんのお話を伺って、お菓子づくりもダンスも、根底にあるのは「誰かの心と体を動かしたい」という真っ直ぐなエネルギーなのだと感じました。それは、私たちがカフェという場所を通じて届けたい想いとも深く重なります。ただお腹を満たすだけではなく、そこにある会話や景色、そして情熱を持ってつくられた一皿が、訪れる人を少しだけ明るく照らす。これからも私たちは地域に寄り添い、つくり手の想いをつないでいければと思います。















Factory Cafe CO-BA
住所:八尾市神武町1-36
営業時間:10:00~18:00
電話番号:072-922-8000
定休日:不定休