「あそび」が繋ぐ、100年企業への土台づくり。豊開発がリノベーションで描いた「地層」という名の帰りたくなる新オフィス戦略

友安製作所が取り扱うアイテムを取り入れながら、リノベーションプランを提案する友安製作所工務店。本シリーズでは、施工をご依頼いただいたお客様に、リノベーションを行ったきっかけや施工中の印象的なエピソード、友安製作所工務店を利用してみた率直な感想などを、Ttimes編集部がじっくり伺います。今回は山留め工事・場所打ち杭工事の専門工事会社として地面の中からまちをつくり、生活の基盤をつくる「豊開発株式会社」の新オフィスをたずねました。

地面の下という、普段は目に見えない場所からまちの安全を支え続けてきたプロフェッショナル。豊開発は1990年に設立以来、30年以上にわたって関西区域の土木工事を担ってきました。品質・安全への徹底したこだわりと、現場で培った知見を武器に、常にお客様の期待を超える成果を出し続けてきました。そんな豊開発の代表・清水勇輝さんの心に芽生えたのは、「社員が自己成長や自己実現できる場として、オフィスを改装したい」という想い。リノベーションを通して、清水さんが実現させたかった未来とは──。

22年に代表へと就任した清水勇輝さん。

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100年続く会社にするために。組織改変の第一歩として踏み出したオフィス改装

──今回、ビルの3〜5階のリノベーションを友安製作所工務店にご依頼いただきましたが、そもそもリノベーションを決意されたきっかけは何だったのでしょうか?

きっかけはいくつかありますが、一番は部署間の距離でした。以前のオフィスは、3階が応接会議スペース、4階が事務所、5階が女子更衣室兼役員・作業スペースと分かれていたのですが、有効活用できていない部屋があったり、物理的な壁のせいでコミュニケーションが少なくなっていたんです。書類の受け渡しのためだけに階段を上り下りする手間もあり、社員の内面的なつながりも希薄になりがちでした。「全員が同じフロアに集まれる場所を作りたい」と考えたのが、大きなきっかけですね。

木材とフェイクグリーンを基調としたナチュラルスタイルなオフィスが完成。

──部署ごとに階が違うと、どうしても社内のコミュニティが分断されてしまいますよね。

特に現場の社員は外にいる時間が長く、オフィスでは次の工事の準備をすることがメインです。内勤の社員と顔を合わせる機会が少ない中で、さらに階まで違うと会話が生まれるはずもありません。お互いを尊重し合える環境を作るには、ワンフロア化が必要不可欠でした。

2022年に私が代表に就任し、50年、100年と続く会社を目指すための「中長期的な組織改革」を計画したのですが、その柱のひとつがこのオフィス改装でした。2025年の創業35周年に向けた大きなプロジェクトとして、念願叶ってのスタートとなりました。

リノベーションをきっかけに社内交流が活発になりました。

──数ある工務店の中から、友安製作所を選んでいただいた決め手は何だったのでしょうか?

以前から友安製作所の社員さんとは交流があり、会社としてのカラーが素敵だなと感じていました。そんな中、貴社のスローガンである「生きるをあそぶ」という言葉を知り、驚いたんです。実は、私が組織改変にあたって新たに掲げたバリュー(大切にしたい価値観)は「あそびを大切に」でした。仕事を楽しむ、あそびを取り入れるという姿勢に深く共感し、運命的な縁を感じたんですね。ここなら、ありきたりなオフィスではなく、どこかあそび心のある空間をつくってくれると確信し、依頼しました。

ひとりで塗れるもん」で仕上げた際に残した「Asobu」の文字

──ありがとうございます。実際に施工が始まってからの印象はいかがでしたか?

以前からお付き合いのあるデザインコンサルの方を交えた打ち合わせでも、施工にあたってのコンセプトや豊開発が希望している内容をきちんと落とし込んでくれた実感がありました。細かい部分は、友安製作所工務店のクリエイティブ力に全幅の信頼を置いてお任せしましたね。特に施工担当のJack(ジャック)とKate(ケイト)(※)は、私たちの社員ともフラットに接してくれて、いつの間にか「発注者と業者」という垣根を超えて、素敵なものをつくるためのパートナーとして切磋琢磨できたと感じています。

※ 友安製作所では、役職や年齢に関わらずフラットな関係性を築くため、全社員がビジネスネームで呼び合う文化があります。

5階の会議室とフリーアドレスの席。目にも優しいフェイクグリーンがいっぱい

──掲げていたコンセプトとは、どういった内容でしょうか?

ズバリ「地層」です。土木事業を展開する私たちの「土を掘る」というビジネスと、会社として目指すべき「思考を深掘りする」という姿勢を掛け合わせました。3〜5階の各フロアを、下から上へと地上へ向かうグラデーションに見立てています。まず、一番下の層にあたる3階は、地中に埋まっている状態をイメージした「クローズド」なフロアです。ここは集中と休憩のための場所。作業に集中したいときに使う防音機能がある小部屋や、一人の時間を静かに楽しめる休憩スペースを設けました。

休憩室と集中スペースが一緒になっているため、静かな空間です
防音機能がついた集中スペース

そこから階段を上がった4階は、地層の中間層をイメージした「セミクローズド・セミオープン」なメインオフィスです。以前はバラバラだった社員全員の席をワンフロアに集約しました。地中の静けさと地上の開放感の中間に位置し、部署の垣根を越えたコミュニケーションが自然と湧き上がる、組織の中心といえる場所ですね。

奥の仕切り部屋は金庫を扱う経理部屋となっています

そして最上階の5階は、開放的な地上をイメージした「オープン」なフロアです。来客・会議のための空間ですが、明るく開放的なつくりになっていて、社内セッションにも活用しています。このように、上へ行くほど外の世界と繋がっていくような設計にすることで、会社全体が一つの大きな物語を持つようなオフィスを目指しました。

オープンスペースとなる場所。広々とした居心地の良い空間から、交流が生まれそうです
会議室。来客用の打ち合わせとしても使います

──素材感も、土木の会社らしいあたたかみのある木材が印象的ですね。

そうですね、施工で使用する素材は友安製作所工務店が提案してくれました。会社のロゴを真緑からアースカラーの緑へ変えたタイミングだったので、その自然体な雰囲気をうまく汲み取ってくれました。裏テーマとして「社員が帰りたくなるオフィス」を掲げていたのですが、アットホームで居心地の良い空間に仕上がり、本当に感謝しています。

スタンディングスペースや、各所にちょっとした社内打ち合わせ用の席も設けています

──リノベーション後、社内の雰囲気に変化はありましたか?

一番の変化は、情報共有のスピードと質ですね。ワンフロアになったことで、二人が話している内容が自然と周りに聞こえ、「それならこんな案があるよ」と横から新たなアイデアが出るようになった。これは階が分かれていては絶対に起きない現象です。

また、以前はなかった「休憩室」を設けたことで、オンとオフの切り替えが明確になりました。全員がすべてのフロアを自由に使い、主体性を持って動く。まさに私が理想としていた「メリハリのある空間で自分らしく、楽しんで仕事をする」姿が体現され始めています。

休憩室には足を伸ばしてくつろげるスペースも用意

──清水さんご自身も、お仕事のスタイルが変わったとか。

そうなんです。以前は仕切られた社長室のようなお部屋にこもりがちでしたが、本来はPCひとつで仕事ができるような体制なので、今は自席を捨てました。そのため、4・5階のフリーアドレス席を転々としています(笑)。立ちながら仕事ができる環境もあるので、集中しやすいので良いと思いました。また、社員と同じ空間にいることで、以前より話しかけやすくなったんじゃないかなと思っています。

──最後に、新オフィスで挑戦してみたいことはありますか?

この場所を、地域や若手とつながる「人が集う場所」にしていきたいです。建設業界は「3K(きつい・汚い・危険)」といった古いイメージが根強く、若手不足が深刻です。でも実際は、おもしろいところもたくさんある仕事。そのギャップを埋めるために、5階のオープンスペースを活用して、コワーキングスペースやカフェのような、学生やこの業界で働く人たちを中心に、一般の方も気軽に立ち寄れる場所を運営できないかと検討しています。

谷町九丁目付近は意外とカフェが少ないので、最終的には業界関係なく多様な人が集まり、交流が生まれる場所をつくりたい。そんな場所から、建設業の本当の魅力を発信していきたいですね。

豊開発では女性も多数活躍しています!

埋もれていた地層から地上に解き放つ、生活の土台づくりはここから

4階オフィスの受付スペース。お客様が一番に目がいくところのため、特に彩りのある空間にしています

駅や自動車道、ビル、マンションなど、私たちの暮らしを足元から支えるインフラの数々。それらを手掛けてきた豊開発株式会社の歩みは、目に見えない場所で、確かな土台を築く日々でした。今回のリノベーションは、その「土台」を社員一人ひとりの心の中にも築き直すプロジェクト。地下深くで思考を研ぎ澄ます3階から、仲間と繋がりを深める4階、そして地域や未来へと開かれた5階へ。友安製作所工務店とともにつくり上げたこの「地層」のオフィスは、これまでの歩みを大切にしながら、新しい豊開発の風を吹かせます。

地層を突き抜け、地上へと解き放たれた豊開発の情熱は、これからこの場所を拠点に、建設業界のイメージさえも塗り替えていきます。まちをつくり、生活を支える彼らの挑戦は、この新しい土台から再び始まります。