友安製作所のこだわりが凄い!シェラカップハンドルカバーの製作秘話を聞いてみた

季節の移ろいを感じるこの頃、まもなく秋のキャンプシーズンです。
ということで今回は、友安製作所がおくる新たなキャンプグッズ「友安オリジナルシェラカップ専用レザーハンドルカバー」について。

社内にキャンプ好きが多いこともあり、インテリアやDIYアイテムの会社でありながら、オリジナルのキャンプギアを手がけるようになった友安製作所。この春には、なんと物流倉庫を置く福井県勝山市にキャンプ場「モリノネカワノネ」をオープンさせました!

キャンプを楽しむ輪をどんどん広げている友安製作所がつくった、完全オリジナルのシェラカップハンドルカバーとは?!


こちらが今回発売した「友安オリジナルシェラカップ専用 レザーハンドルカバー」。
タンニンなめしという伝統的な製法で仕上げられた姫路レザーを使用しており、革の色、デザイン、ギミック、全てがオリジナルのシェラカップハンドルカバーです。

ちなみにこちらが、友安製作所のオリジナルシェラカップ。

長く愛せるチタン製で、取手がスライド式になっており、折りたたむとコンパクトに収納することができます。そんなシェラカップの特性を生かすべく、専用のハンドルカバーも、「カバーをつけたまま折りたためる」という機能性を追求したつくりになっています。

そんなレザーハンドルカバーの開発過程には、多くの苦労とこだわりが詰まっている!ということで、商品企画を担当したAlice(アリス)にお話を聞いてみました。

今回の記事では「友安オリジナルシェラカップ専用レザーハンドルカバー」が唯一無二である所以と、その魅力をお届けします!

きっかけはBossのひと声

実はこのシェラカップのハンドルカバー開発のきっかけとなったのは、社長Boss(ボス)の「俺、シェラカップカバー欲しいな」という言葉。

数年前に姫路レザーのタンナーさん(動物の皮を鞣して鞣し革にする製革業者)に出会ったことで、何か革の製品をつくれないかと模索していたところ、BOSSの「シェラカップカバー欲しい」という言葉で企画が動き出しました。

BOSSは友安製作所を代表するキャンプ好きでもあり、こだわりのキャンプギアに目がない人物です。シェラカップのハンドルカバーは、シェラカップを愛用するキャンパーなら誰でも欲しくなるアイテムなんだとか。

無機質なシェラカップをおしゃれに演出して自分のアイテムを差別化できるだけでなく、調理の際の安定感を高め、より快適に使うことができます!

ちなみに企画担当のAliceは、キャンプに関しては素人。「シェラカップのハンドルカバーとはどんな物なのか?」という所から研究を重ねたそうです。

まず気がついたのは、シェラカップのハンドルカバーは派手な装飾を施したり、デザイン性に偏った斬新な形にしたりすることはできないため、オリジナルの要素を付け加えるのが難しいということ。だからこそ、独自性を持たせることの大切さを感じたそうです。

友安製作所のオリジナルシェラカップにふさわしいハンドルカバーはどんな物なのか..もう一度シェラカップを見つめていると、大事なポイントが見つかりました。

それは、コンパクトに折りたためること!
友安製作所オリジナルシェラカップの最大の特徴を再発見し、「せっかく折りたためるのだから、着けたままでたためるハンドルカバーを」という想いが商品開発の軸になりました。

Aliceの試作奮闘記

友安製作所のオリジナルシェラカップに合わせた唯一無二のハンドルカバーを作ることになったAlice。一番苦労したのは試作だったといいます。

まずは手近なものを使って模型づくりをスタート。どんな仕様にすれば着けたまま折りたたみができるのかを知るために、紙で生地を、磁石でボタンを模して、色々な形を試していきました。

磁石、クリップ、カッターの刃など、身近なものをフル活用して試作を行うAliceのアイディア力には脱帽です。

いくつかの案が出たところで、今度は合皮で試作をし、デザインを詰めていくことに。とても細かいポイントですが、デザインを左右する縫い目はマジックで描いて確認したそうです。

無事に合皮での試作が完了し、デザインが固まったところで革工房にサンプル制作を依頼すると、ここで思わぬ展開に!

実際に使用する本革でつくってみると、想像以上に革が硬く、使いにくかったり、想定したデザインが崩れてしまっていたり.. 革製品の難しさに直面してしまいました。

各パーツのサイズや形、フック穴の位置など、細かく微調整を依頼していきましたが、なかなか納得のいくものができあがりません。

それでもどうにか自分の想い描いた形を実現しようと、Aliceはここで「自らサンプルをつくってみる」というまさかの決断を下します。

デザイナーである自身のこだわりと、手先の器用さを発揮して、納得がいくまで自分でつくってみようとしたAliceですが、流石に革の縫製は全くの未経験。

革の扱い方や縫い方を調べ、つくっていくうちに色んな気づきもあり、次第に革の扱いを極めていったそうです。

各パーツのサイズや縫い合わせる位置などはmm単位で考えて図面をひき、緻密に形成。何度もつくり直し、後に商品化に至る最終形態に辿り着くことができました!

真ん中がホックで止められており、左右両方にしっかりと開く形にしたことで、カバーをつけたままでもハンドルをスライドさせ、折りたためるようになっています。

開閉のしやすさと、デザイン性、両方を考え抜かれた形です。

Aliceは、「試作品を他の人に見せた時に、デザイナーである自分のイメージが全て伝わるように細かくつくりこんだ。自分にできることは全部したと思う!」と振り返ります。

こちらは、最初期から最終形態までの試作品をずらりと並べたもの。
形や縫い方、ホックの止め方、色んなパターンを考えて試したことがわかります。実は試作品はこの他にもあったそうです。

「どうせつくるなら良いものにしたい」。
そんな一心で4ヶ月間に渡ってたくさんのサンプルをつくり、時には寝る間も惜しんで革を縫っていたのだとか!

納得のいくまで突き詰めるAliceだからこそ辿り着いたアイテムです。

こだわりポイント

そんな懸命な試作期間を経て完成した「友安オリジナルシェラカップ専用レザーハンドルカバー」。

Alice曰く一番のこだわりはやっぱりこの形ですが、他にもたくさんのこだわりポイントがあるそうなので、最後に大きく2つに分けてご紹介します。

1. 革の素材と製法

タンニンなめしの工程(自然乾燥)

今回使用した革は姫路レザー。平安時代から伝統的に生産されている質の良い国産レザーです。タンニンなめしで仕上げられており、革本来の質感や、経年変化を楽しむことができます。

革の原料である動物の皮の腐食を防ぐための処理のことを「なめし」といいますが、その方法には「タンニンなめし」と「クロムなめし」の2種類があります。

なめしの最も古い方法と言われている「タンニンなめし」は植物の樹皮などより抽出したタンニン(渋)を主成分とするなめし剤を使用する一方、「クロムなめし」は塩基性硫酸クロムという化学薬品をなめし剤に使用する方法です。

自然由来の「タンニン」を皮に染み込ませる工程には多くの時間と手間がかかるため、「クロムなめし」より高価になります。しかし、使い込むごとに柔らかくなり、革本来の風合いを味わえるのは「タンニンなめし」ならではの魅力です。

なめしは革の質感を大きく左右する工程で、タンナーさんの腕の見せどころ。今回使用している革は、「タンニン」にじっくりと浸す伝統的な製法で仕上げられているので、より丈夫でコシがあるのが特徴です。

また縫製も国内の革工房で一つひとつ丁寧に施されており、完全日本製の高品質なレザーアイテムとなっています!

そして、2つ付いている小さなホックも、友安製作所のロゴが入ったオリジナル!
同じ大阪府八尾市で、ジーンズボタンなど服飾副資材を手がけるカネエム工業さんにお願いしてつくっていただきました。

真鍮製の小さなボタンにくっきりと刻印された友安製作所のハウスロゴが可愛い!全体の雰囲気にマッチしたボタンの大きさも、Aliceのこだわりポイントです。

ホックも職人さんによって一つひとつ丁寧に打っています

2. オリジナルカラー

左:「グレージュ×ネイビー」 右:「ブラック×グレージュ」

「友安オリジナルシェラカップ専用レザーハンドルカバー」は、形の特性を生かしたツートンカラー。「グレージュ×ネイビー」、「ブラック×グレージュ」の2色展開です。

実は今回使用したタンニンなめしのレザーは、革本来の良さを出すことができる反面、革に肌の色が残っているため、薄い色や明るい色に染めるには向きません。
そのような色をより簡単に表現するには、革の上に直接塗料をのせられるクロムなめしの革の方が適していますが、革の表面を塗料が覆ってしまうので、革ならではの質感や経年変化を楽しむことができなくなってしまいます。

とはいえ、質感と色、どちらかを諦めるわけにはいきません!

タンニンなめしでは難しいと言われるグレーを限界まで再現し、穏やかな発色が可愛い「グレージュ」。そして、何度も染め直しを行い、グリーンがかった深みを引き出した「ネイビー」。

こだわり抜いた2色のオリジナルカラーを実現することができました!

実はこのネイビーは、友安製作所のコーポレートカラー。これまでのオリジナル商品でも、ネイビーのグッズを揃えてきました。

今回のレザーの質感とも相性バッチリです!

おわりに

今回は友安製作所の新作キャンプギア「友安オリジナルシェラカップ専用 レザーハンドルカバー」について、開発者であるAliceのお話をもとに、その魅力をご紹介してきました!

素材や製法、色やパーツ、全ての要素にこだわった、レザー製のシェラカップハンドルカバーの魅力が伝わったでしょうか。

はじめから終わりまで全て国内で生産された高品質のアイテムですが、自社でデザインし、全て直接の繋がりで完成させているため、みなさんに低価格で良いものをご提供することができています!

こだわり派キャンパーのみなさん、ぜひ友安製作所のオリジナルシェラカップに合わせて、レザーハンドルカバーを使ってみてください。

この秋も友安製作所のキャンプギアやキャンプ場を使って、キャンプをお楽しみいただけますように!