八尾で、身近なものづくりを再発見!「プレFactorISM 2026」に行ってみた!

近年、全国的に広がりをみせている「オープンファクトリー」イベント。地域のものづくり企業が、製造現場を一斉に公開し、一般のお客様に見学や体験を楽しんでもらうための取り組みです。友安製作所では、地元八尾市の仲間たちと2020年に立ち上げた「FactorISM(ファクトリズム)」というイベントに参加しています。

「FactorISM」の本番は毎年10月末。今では八尾市という枠を越え、関西広域へとその輪は広がっています。昨年は92社の企業が参加し、4日間にわたって各地で盛り上がりを見せました。

「FactorISM」友安製作所での様子

大阪・関西万博が開催された2025年は、私たちにとって一つの大きな節目の年でもありました。「こうばはまちのエンターテイメント」を合言葉に活動を始めた2020年から、「万博で世界中の人々が大阪を訪れるとき、町工場にも足を運んで日本のものづくりを感じてほしい」そんな想いで積み重ねてきた5年間。実際に万博期間中は、夢洲での出張ワークショップや、自社工場での海外ゲストの受け入れなど、多くの企業が万博との繋がりを見出すことができました。

そんな2025年を経て、「FactorISM」はさらにパワーアップしようと、今年も動き出しています。その最初の一歩として、3月末に開催されたのが「プレFactorISM」です。今回は八尾市内の企業14社が、春休みに合わせて工場を開放しました。

この記事では、スタッフCyan(シアン)が3つの企業を訪ねたレポートをお届けします。入社以来、友安製作所の「FactorISM」担当として、お客様をお迎えしてきたCyan。今回は身近な仲間たちの工場見学に参加して、改めて「FactorISM」の魅力を体感してきました!

知るほどに面白い!プレス加工の奥深さ|株式会社 平井製作所

1社目は、金属プレス加工を手がける平井製作所さん。友安製作所から自転車で10分ほどのところにあるご近所さんですが、見学に訪れるのはこの日がはじめてでした。

創業92年を数える平井製作所さんは、家電や調理機器など、私たちの暮らしに欠かせない製品のパーツ製造を幅広く担っています。まずはその歩みやプレス加工の仕組みについてお話をききました。

特に印象的だったのが、「プレス加工はクッキー作りのようなもの」という解説。この例えがとても分かりやすく、仕事の全体像を理解することができました。また、大きなプレス機の中では何がおきているのか、その流れをイラストで解説していただいたことで「ガチャン!」と大きな音が鳴るプレスの瞬間だけでなく、材料が形になっていく工程をイメージすることができました。

会場には平井製作所さんの技術が詰まった製品がいくつも展示されており、「どこにプレス技術が使われているのだろう?」と考えながら触れられるのも楽しい時間でした。

展示を眺めていると、なんとそこには私たち友安製作所製品の一部が!実は、自社工場で製造しているロールスクリーンの特注パーツを、平井製作所さんにつくっていただいていたのです。

友安製作所のロールスクリーンのパーツ

それは、スクリーンを紐で操作するための小さなパーツ。これまで「そのパーツを誰がつくっているか」を深く考えたことはありませんでしたが、こうして平井製作所さんでひとつひとつ丁寧に生み出されていることを知り、見慣れた自社商品への愛着が深まりました。何気なく触れているものが「どんな風に生まれているのか」に想いを馳せたくなるのは、工場見学の醍醐味です。

平井製作所さんの強みは、美しく仕上げるのが難しい繊細な加工や、手間のかかる複雑な形状に対し、長年の経験に裏打ちされた「技術」と「工夫」で応えること。平井社長からは、実際の事例を交えながら、他社では断られてしまうような加工をいかにして実現したのかを詳しく解説していただきました。

工場へ足を踏み入れると、そこには巨大なプレス機と材料がズラリと並んでいます。自分自身が小さく感じられるほどのスケール感です。目の前には、先ほどイラストで仕組みを教わったばかりのあの機械が。「おお〜、これか!」と、点と線がつながるような快感を覚えながら、先ほど学んだ内部の動きを想像しつつ、まじまじと機械を観察しました。

いくつかの機械の前では、スタッフの方が流れるような手つきで作業を進めていました。重い材料をすっと持ち上げてプレス機にセットしたり、向きを変えながら何度もプレスを施したりと、リズムよく進んでいく安定した動きは、なんだか癖になり、ずっと見ていたくなるような気持ちよさです。

「ガチャン!」というプレス音は先ほどいたお部屋にも聞こえてくるほどでしたが、目の前で感じると流石の迫力。「7kgの鉄を130トンの力で曲げているんですよ」と教えていただきました。

続いて案内されたのは、プレス機にとりつける金型(かながた)の倉庫です。少し薄暗い空間の中に、天井近くまで所狭しと金型が並ぶ光景は圧巻。お客様の要望に寄り添い、多種多様な形を実現してきた平井製作所さんならではの歴史を感じました。工場内には金型を手入れする作業場もあり、長年大切に使いつづけています。

最後は、お待ちかねのプレス体験!プレス機をつかって、自分だけの「アイススプーン」をつくります。まずは、材料に名前を刻印。鉄製のハンコのような棒をあてて、ハンマーで打ちつけることで、文字が浮かび上がります。私はビジネスネームの「シアン」と、3文字刻印しました。何度も打つと刻印がぶれてしまうので、力を込めて一回でまっすぐ打ち付けます。なかなかハンマーを握ることはないので緊張しましたが、スタッフの方の手助けもあって、綺麗に刻印することができました。

いよいよプレス機の前へ。スプーンの形にくぼんだ金型の上に板をのせ、ボタンを押していざ!「ガチャン!」。

工場内で何度も聞いていた音ですが、自分で動かすとまた違い、新鮮に聞こえます。その響きに驚いている間に、あっという間にアイススプーンの形ができあがりました。プレスの仕組みを知るだけでなく、実際につかえるものをつくることで、その技術がぐっと身近に感じられます。

見学を終え、帰り際に平井社長が案内してくださったのは、駐車場の一角にある小さな建物。扉をあけると、爽やかな柑橘の香りが広がりました。実は平井製作所さんでは、金属加工だけでなく、橙(だいだい)という柑橘からオリジナルのポン酢をつくる食品事業も手がけています。魚釣りが大好きな平井社長の趣味で「白身魚にあうポン酢」の研究がはじまり、今では製造から販売までを行っています。平井製作所の見学に行かれた際には、運が良ければポン酢づくりの様子も見せてもらえるかもしれませんよ。

見て、触れて、驚く。みんなで夢中になれる「体験型」ツアー|株式会社 ミナミダ

つづいて向かったのは、1933年創業の金属部品メーカー「ミナミダ」さん。自動車用ボルトやナットなど、なんと600種類以上の製造を手がけるほか、現在はものづくりにまつわる多角的な事業も展開されています。

ミナミダさんの工場見学は、小学生までのお子様の参加が多いのが印象的でした。まずは机に座って、スライドと冊子でミナミダさんの技術「冷間鍛造」についてお勉強。冷間鍛造は、金属を熱さず常温のまま、金型でギュッと圧縮して形を作る技術です。電柱の足場ボルトや車の重要パーツなど、身近なところでミナミダさんの技術が活躍していることを知ると、子どもたちも興味津々でした。説明をきいて、少し待ちきれないような子供たちと一緒に、早速工場へ!

工場の入り口で私たちを迎えてくれたのは「素材にふれてみる」コーナー。そこには、ミナミダさんが日々ものづくりで使用している多種多様な鉄の棒が並んでいました。「力いっぱい曲げてみてください!」というスタッフさんの掛け声に、子どもたちは全力で奮闘!「こっちの方が軽い!」「これはビクともしない!」と、実際に手に取ることで、素材ごとの特性を感じているようでした。「銅」や「アルミニウム」といった名前は、これまでなんとなく耳にしてきましたが、スタッフさんの丁寧な解説を聞きながら実際に触れてみることで、それぞれの素材への理解が深まりました。

足をつかって曲げようとしている子も!

素材について学んだところで、工場の奥へと進んでいきます。ミナミダさんの工場内にはところ狭しと大きな材料や機械がならんでいて、歩いているだけで探検気分です。

ミナミダさんの工場見学の見どころは、ただ見るだけでなく「触れる」機会がとにかく多いこと。例えば、ボルトにネジの溝をつける転造(てんぞう)の解説。ネジの溝が刻まれた2枚の板に材料を挟み、ギュッと押し付けながら転がすことで、材料の表面を盛り上がらせてネジ山をつくる工程です。機械を外から見ているとまるで魔法つかいのようですが、その中で起きていることを手のひらで理解できるのは貴重な体験です。

こちらは、機械の中につかわれている重りの重さを比べる体験。子供たちが一生懸命持ち上げながら「これはお米くらい?」と身近なものに置き換えて考えようとしているのが印象的でした。

ミナミダさんの工場では、人の手で扱うコンパクトなものから、全自動で動く大型設備、さらには最新のロボットまで、多種多様な機械が動いていました。中でも印象的だったのは、階段を登って上から内部を覗かせていただいた巨大な機械です。太い鉄の線材が吸い込まれ、機械の中を移動しながら「ガチャン、ガチャン!」とリズミカルに型へ押し当てられていきます。

その仕組み自体は、友安製作所の創業者が開発した「カーテンフックをつくる機械」と通じるものがありましたが、目の前にあるのはそれとは比べものにならないほどの超大型スケール。共通点を感じつつも、その圧倒的な迫力に見入ってしまいました。

2台の小型機械では、実際にボルトなどの成形体験をさせていただきました。冒頭のコーナーであれほどみんなが必死に曲げようとした材料が、機械を通せばあっという間に、そして美しく曲がっていきます。現場を担当されているスタッフさんに教わりながら、まずは機械の内部を覗き込んで仕組みを理解。

操作自体は「材料をセットしてペダルを踏む」というシンプルなものですが、人の手では太刀打ちできないことを身をもって知った後だったからこそ、機械が持つパワーをよりダイレクトに感じることができました。

ロボットが仕上げを行うエリアでは、工程が進むごとに少しずつ形や質感が変わっていく部品を、実際に触り比べて確かめることができました。五感を使って「つくる」の裏側に触れる体験に、大人も子どもも好奇心をくすぐられっぱなしでした。

また、工場を回りながら各持ち場のスタッフさんが気さくにお話ししてくださったのも、とても印象的でした。技術だけでなく、案内してくださる方々の人柄にも触れることができ、「ミナミダさんには、こんなに素敵なスタッフさんが集まっているんだな」と感じられるあたたかいツアーとなりました。

高いところから眺めたミナミダさんの工場

工場見学の締めくくりは、ものづくり体験コーナーへ。ここで作るのは、ミナミダさんが長年培ってきたプレス技術を応用して生まれたお面「ワイルドマスク(WILD MASK)」です。

その素材はとってもユニーク。本来は捨てられてしまう「ヤシの木の皮(葉鞘)」を再利用し、金属加工用の金型を使ってプレス成形しているんです。そこに落ち葉や木の実、ドライフラワーなどを自由に飾り付け、自分だけのお面をつくります。高度な技術をサステナブルなアイデアと掛け合わせて、つくる喜びを届けるミナミダさんならではのワークショップです。

子どもたちは「どれにしようかな」とわいわい素材を選び、時間いっぱいデコレーションを楽しんでいました。もちろんCyanもつくってみました!

日常生活の中で「冷間鍛造」という言葉に触れる機会は少ないですが、こうして「工場での体験を持ち帰れる」というのは、子どもたちにとっても、ものづくりを身近に感じる最高のお土産になりますね。

【番外編】ものづくり企業のランチタイムに潜入?!FactorISM で楽しむこうば飯|株式会社 コムラ製作所

今回の「プレFactorISM」では、工場見学以外にもお楽しみがありました。番外編としてご紹介したいのが、コムラ製作所さん。電動昇降座椅子や介護用リフトなど、福祉・介護の現場を支えるアイテムを製造しているメーカーです。

そんなコムラ製作所さんでは、工場見学やワークショップだけでなく、自慢の社員食堂でランチを味わう体験を用意しているときいて、行ってきました!

案内されたのは、スタッフのみなさんがお昼休憩をとられる食堂。毎日日替わりで手作りのメニューが提供されています。実際にお昼休憩中のみなさんに混ざっていただきました。

この日のメニューは、キスの炊き込みご飯と、豚肉で野菜を巻いたフライ。副菜もたっぷりでとてもおいしかったです。

「FactorISM」では1日かけて複数の会社を巡る方も多いので、「ランチタイムに立ち寄ってひとやすみできるように」という思いで昨年から取り組まれているそう。各企業工夫を凝らして来場者のみなさんに楽しんでいただけるように考えているのも「FactorISM」のあたたかい魅力です。

ワークショップは、自社製品の介護用椅子で行うスタイルでした!

おわりに

今回の「プレFactorISM」を通して改めて感じたのは、ものづくりの現場に溢れる「熱量」と「人のあたたかさ」です。圧倒的な機械の迫力や、柔軟なアイデア、そして何より私たちを迎えてくれる皆さんの笑顔。日頃はなかなか感じることができない工場の中身を思いっきり味わえました。

「FactorISM 2026」の本番は、今年も10月の最終週末に開催されます。友安製作所も、今回訪ねた3社のみなさんに負けないくらい、素敵な体験をお届けできるオープンファクトリーを目指します!

そして実は、友安製作所は「FactorISM」の事務局の一員として、イベントの企画運営にも深く携わっています。今年度は、代表のBossが実行委員長に就任し、これまで以上に「FactorISM」への想いが熱を帯びています。今年も多くの仲間とともに、「こうばはまちのエンターテイメント」を届けていけるよう、全力で向き合っていきます!

まだ少し先ですが、今年も「FactorISM」を楽しみにしていただけたらうれしいです。関連イベントの情報もお知らせしていくのでぜひSNSをチェックしてくださいね。